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蒸留酒への挑戦 玄人酔わす

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「富士白蒸留所」シリーズの槙―KOZUE―=中野BC提供
「富士白蒸留所」シリーズの槙―KOZUE―=中野BC提供
西浦さん(右から2番目)ら「SAKEメン」のメンバー。「蒸留酒で日本一を目指す」と意気込む(海南市で)
西浦さん(右から2番目)ら「SAKEメン」のメンバー。「蒸留酒で日本一を目指す」と意気込む(海南市で)

中野BC (海南市)

 森の中にいるような爽やかな木の香りが鼻腔びこうを抜ける。高野山周辺で栽培されている針葉樹「コウヤマキ(高野槙)」の匂いだという。グラスに口を付けると甘く柔らかな味が広がるが、後味は、ぴりっと締まる不思議な感じだ。

 「中野BC」が2017年11月に発売したジン「槙―KOZUE(こずえ)―」。香り付けにコウヤマキを使った蒸留酒だ。18、19年に開発した南高梅と、ヒノキなどの香りがする計3種の酒に「富士白蒸留所」というシリーズ名が付けられた。

 「針葉樹の葉を使った蒸留酒は業界でも珍しく、独特の香りや味わいが玄人受けしている」。14年に社内の営業やマーケティングなど各分野の精鋭を集めて発足した開発チーム「SAKE(さけ)メン」でリーダーを務める西浦啓木さん(52)は胸を張る。

 シリーズ名に「富士白」と刻んだのには訳がある。

 同社の前身はしょうゆ製造会社で、1932年に中野利生氏が創業した。戦後間もない49年に、中野氏の夢だった焼酎製造に乗り出すと、関西に働きに来ていた九州の労働者を中心に人気に火が付き、製造量を増やすために高さ20メートル超の蒸留塔を建設。52年に酒造会社に転身した。

 その時の焼酎の名が「富士白」だ。製造拠点の海南市藤白の地名にちなみ、「富士山のように日本一を目指す」との思いが託された。その名が示すとおり、同社はその後、清酒や梅酒の分野へも手を広げ、県内有数の企業に成長した。シリーズは、そんな歴史と、創業者が残した「縦横十文字から物事をよく見よ」という言葉を念頭に開発されたという。

 試作品はコウヤマキのほか、ユズやハッサク、ショウガなどを原料に約10種類にのぼった。2018年に解体された初代蒸留塔に代わって新たに導入された蒸留機を使い、〈伝統とモダン〉を併せ持つ商品に仕上がった。

 シリーズの販売を機に、初めてバー業界へも進出し、取引先が増えた。現在は小売店も含めシリーズの蒸留酒を約5000店に売り出している。また、国内だけでなく、19か国・地域にも輸出し、販売網を広げている。

 「このシリーズを足がかりに、蒸留酒を主力の清酒や梅酒と並ぶ新たな経営の軸に育てることを目指す」と西浦さん。ラベルのマークにあしらわれたボートのオールの絵には、「社に勢いをつける商品に」との意味を込めた。「創業者は多角的に事業にチャレンジして一代で会社を大きくした。我々も新たな商品を生み出し、世の中にもう一度『富士白』を伝えていきたい」。同社の挑戦は続く。(坂戸奎太)

<企業MEMO>

 1932年に海南市で創業。清酒に梅酒、蒸留酒など80種近くの商品を製造、販売し、独、英、豪など約25か国・地域へ輸出。近年は梅を使ったゼリーやサプリメントといった健康食品にも注力する。従業員数約120人。

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