ラテン音楽で恩返し

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昨年のイベントで踊りを披露した出演者=田中ベロニカさん提供
昨年のイベントで踊りを披露した出演者=田中ベロニカさん提供

 ◇コスタリカ女性 10月フェスタ 那智勝浦

 里山に陽気なラテンのリズムを――。6年前から那智勝浦町の山あいにある色川地区に暮らす中米・コスタリカ出身の田中ベロニカさん(30)が、母国の歌や踊りを紹介するイベント「ラテンフェスタIN色川」を10月19日に開催する。言葉や文化の違いに戸惑いながらも、住民らに支えられ地域に溶け込んできた。2人の子供にも恵まれ、ベロニカさんは「温かく受け入れてくれた皆さんに感謝の思いを伝えたい」と話している。(大場久仁彦)

 ベロニカさんは大学に在学中、青年海外協力隊員としてコスタリカに駐在し、環境教育を指導していた宏幸さん(35)と、ごみ拾いのボランティアで出会った。第二外国語で日本語を学び、日本の文化に興味を持っていたことからすぐに意気投合した。

 宏幸さんは2012年1月に任期を終えて帰国したが、交際は続き、「将来は結婚しよう」と約束していた。和歌山市出身の宏幸さんは、県内で仕事を探す傍ら、11年の紀伊水害で被害に遭った同町の市野々地区でボランティア活動に参加。その後、「コスタリカの風景と重なった」という色川地区の地域おこし協力隊員となり、13年8月には町の採用試験に合格。ベロニカさんを迎える準備を整えた。

 4か月後、コスタリカで式を挙げ来日したベロニカさんだが、色川の借家で始めた生活は「思い描いていた先進国のイメージとかけ離れていた」。トイレは屋外で、水道も通っていない。蛇が家の中に入って来た時は大騒ぎになり、ネズミに靴をかじられたことも。本来、陽気なベロニカさんも、ホームシックと言葉の壁から、当初は家を出たがらなかったという。

 それでも、周囲に溶け込むのに時間はかからなかった。188世帯322人(4月1日現在)が暮らす色川地区は約半数が移住者で、大勢のIターン者を受け入れてきた懐の深さがある。同世代の友人から行事やパーティーに誘われ、健康診断にも付き添ってくれた。風邪をひいた時、うどんを持って来てくれたことも。人々の優しさに触れるうちに寂しさは消えていった。

 長女杏奈ちゃん(5)、長男志門ちゃん(3)も「色川っ子」として周囲が見守ってくれている。運転免許を取得して行動範囲を広げ、昨年5月から田辺市でスペイン語教室の講師を始めた。

 イベントは、昨年10月にベロニカさんの母と姉が来日した際、「家族を紹介したい」と開催し、今回が2回目。ベロニカさんの生徒によるフラメンコやコスタリカのダンス、県内で活動するグループによる楽器演奏、宏幸さんの母でシャンソン歌手・みやさんの歌などを予定している。ベロニカさんと宏幸さんも中南米の民俗音楽・フォルクローレの踊りを披露する。

 ベロニカさんが里帰りしたのは、志門ちゃんを妊娠中の1度だけという。宏幸さんは「私も知らない苦労があったと思う。異国で6年も暮らすのはすごいこと」とたたえる。ベロニカさんは「イベントを通じて、色川とコスタリカのPRにもなれば最高ですね」と笑顔を見せる。

 来日当初に住んでいた借家は4年前に出て、築約80年の古民家を購入した。「ここに永住する意思表明です」。2人は口をそろえた。

          ◆

 イベントは同日正午から同町大野の円満地公園で。入場無料。軽食やお菓子、地場産品の販売もある。

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812307 0 ニュース 2019/09/25 05:00:00 2019/09/25 05:00:00 2019/09/25 05:00:00 昨年のイベントで踊りを披露した出演者(田中ベロニカさん提供) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190925-OYTNI50005-T.jpg?type=thumbnail

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