不登校の子に生きる力
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湯浅出身・小幡さん 体験基に支援活動
約10年間にわたる不登校の後、「高校生社長」になり起業した湯浅町出身の小幡和輝さん(26)が、不登校の子供たちに自身の体験を語るなどの支援活動を続けている。昨秋には、自らの体験をまとめた本を執筆。小幡さんは「学校に行かない子供に、生きる力や知恵を伝えたい」と話している。
小幡さんは小学2年頃から不登校となった。きっかけは、教室で得意げに「算数」の知識を披露したという、
同級生から「偉そう」と反発され、学校が息苦しくなり、通えなくなった。フリースクールに通ったが、同級生と出くわしそうな登下校の時間は外に出るのを避けていた。
不登校の間、「ハマった」のがゲームだ。歴史ゲームやカードゲームにつぎ込んだ時間は約10年間で約3万時間。ゲームに関しては子供への悪影響を指摘する声もあるが、小幡さんは「孤立しないで済んだのは、ゲームのおかげ」と話す。
対戦し、腕を磨き、大会に出場すると、高校生や大学生の友人ができたからだ。両親もこうした過ごし方について、「容認してくれていたと思う」と振り返る。
■高校生で起業
定時制高校に通ったのも、ゲームで親しくなった年上の人たちの姿を見たからだった。それが大きな転機になった。
バンドをやっていた知人に音楽ライブの手伝いを頼まれ、イベントの企画に興味を持った。出演者、運営者、観客。役割分担して「楽しい場」を作る面白さを感じた。
高校の先生にも協力してもらい、商店街での学園祭、地元の特産品を紹介する行事、著名人を招いての講演会などを次々に手がけた。
未成年だと面倒な手続きが多く、インターネットで調べて会社を設立したところ、高校生社長として取り上げられるようになった。
約1年前には、オンラインで子供にゲームを教える「ゲームの家庭教師」をビジネスにしようと会社「ゲムトレ」を設立した。
■先生の代わりに
不登校の子供の支援に関わるようになったのは、高校生社長になった頃から中学校などに講演に招かれる機会が増えたためだ。
先生たちから「自分たちの立場では、思っていても、『学校に来なくていい』とは言えない」と聞かされ、自分が発信し、親世代の理解が深まればと考えた。
昨年11月には著書「学校では教えてくれない 稼ぐ力の身につけ方」を出版。今月14日に読者に向けたオンラインイベントを開催する予定だ。
小幡さんは「子供が『レール』から外れると、親は不安になり元に戻そうとする。でもゲームでも何でも、夢中になれるものがあれば、応援してあげてほしい。そこから出口は見つかるかもしれない」と話している。