シカと車 衝突多発
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2年で36件 串本署 啓発チラシ


串本署管内(串本、古座川、すさみ各町)で近年、シカに車やバイクが衝突する事故が多発している。過去2年で計36件あり、今年もすでに4件発生。幹線道路の国道42号沿いでの発生が大半で、同署は「大きな事故につながる恐れもある」と、事故多発を知らせるチラシを作成するなど、啓発に力を入れている。(大場久仁彦)
42号沿いが9割
串本署によると、2018年は13件、19年は19件、20年は17件発生。イノシシとの衝突も3年間で7件あった。発生場所は、国道42号での事故が約9割を占めた。時間帯は見通しが悪くなる夕方から夜間が多いという。
18年以降の事故で、けが人は出ていないものの、車体がへこんだり、ヒビが入ったりする被害は多い。前部を大破したケースもあるという。
同署などによると、シカは昼間なら乗用車が近づくと逃げ出すが、夜間はライトに向かって飛び出してきたり、その場に立ち止まったりするケースが多い。海岸沿いで多く確認される理由については「塩分補給のために山から下りてくる」との説もあるが、はっきりしない。
同様の事故は、線路上でも多発している。JR西日本和歌山支社によると、JR紀勢線では毎年、シカとの接触事故が500件以上あり、20年度もすでに550件を数えている。発生区間は、白浜―串本間が大半を占めた。
県農業環境・鳥獣害対策室は、県内のシカの生息数を約5万4000頭(14年度)と推定。現在も増加傾向にあるといい、分布域も広がっているとみる。
同署は昨年7月から、国道の道路交通情報表示板でも注意を呼びかける案内を続けている。今年に入ってからは啓発チラシを2000枚作成。「鹿・
23日には、国道42号沿いにある「道の駅 すさみ」(すさみ町江住)でドライバーらに配布する。
同署の楠間慎也交通課長は「動物との衝突は大きな事故につながる恐れがある。夜間は道路状況にも気を配り、発生場所の近くを通る時は、速度を落とすなど十分注意してほしい」と呼びかける。動物との衝突は道路交通法上、物損事故扱いになるといい「必ず警察へ届け出を」としている。