住民自主的に早期避難 災害時周囲も巻き込み

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町民ら約70人が「早期避難宣言」を行った小国町防災セミナー(1月22日、小国町で)
町民ら約70人が「早期避難宣言」を行った小国町防災セミナー(1月22日、小国町で)
「早期避難宣言」が書かれた紙を手にする伊藤会長
「早期避難宣言」が書かれた紙を手にする伊藤会長

 全国各地で豪雨など自然災害が相次ぐ中、避難情報が発令されても避難しない住民がいるなど、避難に対する意識の差が問題になっている。そんな中、小国町では、町民が自主的に周囲を巻き込んで避難することを誓う「早期避難宣言」を小国署が中心になって策定。県内では初の取り組みで、災害時の確実な避難につなげる狙いがある。

 「一、私たちは避難情報に応じて早期に避難を始めます」「一、近隣の方々にも早期の避難を促します」

 小国町岩井沢の「おぐに開発総合センター」で1月22日に開かれた「町防災セミナー」。参加した約70人の町民らが「早期避難宣言」を読み上げた。

 セミナーは、小国署と町、国土交通省飯豊山系砂防事務所(同町)が地域防災力の強化を目的に開いた。町内の自主防災組織の代表や、警察に災害時の被害状況を報告する役割を担う災害情報モニターらが参加。幸町地区自主防災会の伊藤便会長(74)は「宣言を地区の高齢者らに周知していきたい」と話した。

 同町では昨年8月16日、大雨で河川が増水し、町内の北部、沖庭両地区(374世帯、1117人)に避難勧告の前段階の「避難準備・高齢者等避難開始」が発令された。だが、町によると、避難所へ避難した住民はゼロだった。町の担当者は「人的被害が出なかったが、今のままではいつ犠牲者が出るか分からない」と危機感を募らせる。

 同町では1967年8月の羽越水害で、土石流や河川の氾濫によって2人が犠牲となった。その後、砂防事業が進められ、約50年にわたって大規模な水害に見舞われていないことから、「『小国町は災害に強い』という安心感が避難への意識を鈍らせている可能性がある」(板垣敦士・小国署長)と指摘する声もある。

 そうした町民の意識を改革しようと、策定されたのが「早期避難宣言」だ。

 宣言は、大雨による河川の増水や土砂災害の危険が高まった際に、高齢者など近隣住民を巻き込んでいち早く避難することを誓うもの。避難の判断が難しければ、町から避難に関する情報が発令された際に、率先して避難所や自宅の安全な場所などへ避難する。

 宣言を避難訓練などの際に普及させ、町民の防災意識向上につなげる考えだ。

 国交省によると、昨年7月の西日本豪雨後に、県立広島大の教授らが広島市の住民を対象に行ったアンケート調査で、避難しなかった理由を尋ねたところ、「自分の家は大丈夫と思った」が「あてはまる(ややあてはまる)」と回答した人が88・7%と最も多く、「避難する緊急性を感じなかった」(84・0%)、「近隣住民が避難していなかった」(72・4%)が続いた。

 一方、避難した理由(複数回答可)では「避難勧告・指示の発令」(67・7%)、「降雨状況を見て」(38・7%)、「河川の水位上昇を見て」(29・0%)に次いで、「家族の避難呼び掛け」「テレビなどの情報」(各22・6%)、「近隣住民の避難」(19・4%)、「近隣住民の避難呼び掛け」(12・9%)が多かった。

 特に、足腰が弱い高齢者は避難に時間がかかるため、早めの避難開始が必要だ。事態が悪化すれば、避難することができなくなることもある。国交省飯豊山系砂防事務所の石田和典所長は、避難情報が発令されていても、自宅から避難しなかった人が犠牲になっているケースが多いと指摘する。

 宣言は小国署が中心となって考案した。同署の太田善久次長は「周辺の住民を巻き込んで早め早めに避難する『早期避難宣言』が浸透すれば、地域単位で多くの命を救うことにつながるはず」としている。

438739 0 ニュース 2019/02/11 05:00:00 2019/02/11 05:00:00 2019/02/11 05:00:00 町民ら約70人が出席した小国町防災セミナー(22日午前10時17分、小国町岩井沢のおぐに開発総合センターで) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190210-OYTNI50031-T.jpg?type=thumbnail

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