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<3>漁業

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伊藤重稔部長
伊藤重稔部長

 ◆衛星データ 漁を効率的に

 「長年の経験と勘がものをいう仕事が変わるかもしれない。そんなサービスを提供したい」

 宇部市のコンピューターシステム開発会社「エイム」の伊藤重稔・ビジネスソリューション部長(51)は熱を込める。

 2002年創業の新興企業である同社が、宇宙ビジネスへの足がかりとして目をつけたのは漁業。衛星データと漁船の操業記録を組み合わせ、経験が浅い若手の漁師でも効率的な漁ができる支援システムの開発を進めている。

 同社は17年、県が設置した「衛星データ解析技術研究会」に参加。伊藤部長は、同じ会員の県水産研究センターの担当者から厳しさを増す漁業の現状を聞いた。

 ピーク時の1962年に約2万4000人いた県内の漁業就業者は、2013年には5106人にまで落ち込んだ。また、65歳以上が2686人と5割を超え、後継者の育成が喫緊の課題となっている。

 「我が社のシステム技術を役立てられないだろうか」。同センターや県漁協などとプロジェクトチームを結成し、事業の検討を始めた。

 漁の実績は漁師が個人的に記憶しているケースがほとんどで、後継者に引き継がれるような記録化ができていなかった。そこで、長門市の瀬付きアジの巻き網船団などに協力をあおぎ、記録の収集に取りかかった。

 漁船に全地球測位システム(GPS)装置やカメラ、魚群探知機などを取り付け、漁に出る航路、漁場の場所や収穫量などをデータベースに蓄積。夜間観測衛星を使って他の漁船の操業場所も把握し、スマートフォン向けアプリでこうした情報を気象データと合わせて提供して、漁師が最適な漁の方法を判断できるようにする計画だ。

 昨年8月、内閣府の「先進的な宇宙利用モデル実証プロジェクト」に採択された。データ収集を続け、20年頃からの全国での実用化を目指す。「漁業衰退に歯止めをかけたい」。伊藤部長は意気込む。

 一方、県水産研究センターは、赤潮の監視と予測に衛星からのデータを役立てようとしている。

 地球観測衛星のデータから、赤潮の原因となる植物プランクトンの葉緑体に含まれる「クロロフィル―a」の海中濃度を推定できる。同センター内海研究部専門研究員の和西昭仁さん(50)は、県周辺海域の衛星データと、実際の海水のクロロフィル―a濃度を比較。両者の相関関係や、赤潮の発生場所が高濃度の地域とほぼ一致することを確認した。

 赤潮が発生すると、えら呼吸に支障を来し、養殖魚の大量死など多大な影響を及ぼす。被害を防ぐには、いかに早く対策を取るかがカギとなる。

 センターは現在、養殖イカダにセンサーを取り付けてクロロフィル―aの濃度を監視。発生が予想されると、魚の動きが活発になって酸欠が進まないよう、餌やりを止めるといった対策を講じている。

 和西さんは「広い海域を監視できる衛星のデータを加えられれば、予測精度はさらに上がる」と期待する。

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61118 0 宇宙を見上げて 2019/01/05 05:00:00 2019/01/05 05:00:00 伊藤部長 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190104-OYTAI50021-T.jpg?type=thumbnail

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