読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

<5>防災

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

病院屋上に設置されたアンテナと非常時の通信について説明する末永さん
病院屋上に設置されたアンテナと非常時の通信について説明する末永さん
土砂崩れ現場のデータを学生に示す長井准教授(右)
土砂崩れ現場のデータを学生に示す長井准教授(右)

 ◆衛星通信災害時に活用

 昨年9月の北海道地震。山口赤十字病院(山口市)の末永利一郎・情報システム係長(40)は発生翌日に衛星携帯電話2台を持ち、現地入りした。任務は被災病院の業務継続支援だ。

 東日本大震災では基地局やケーブルが被災し、病院側が被害情報を発信できず、支援が遅れたケースもあった。災害に強い衛星通信が注目されるきっかけにもなった。

 「電話がつながらなくなると、どの病院が被災しているのか直接行かなければ確認できない。今回は通じるところが多かったが、改めて通信の重要性を知った」と末永さんは振り返る。

 昨年の「今年の漢字」は「災」。地震や未曽有の豪雨が頻発するなか、災害時に医療機関の通信システムをどうやって守るのかが課題となっている。

 同病院は災害拠点病院として、被災時の対応を検討してきた。通常の地上回線に加え、非常用として衛星通信システムを導入したのも、その一環だ。

 2016年に衛星通信事業者の「スカパーJSAT」(東京)と全国の病院、大学が作った研究会に加入。研究会は災害時に地上回線とそれほど遜色ない速度で使えるシステムの開発に取り組んだ。

 研究成果を基に同社は昨年5月、「災害医療プラン」サービスの提供を開始。非常時に地上回線を衛星通信に切り替え、通話やインターネット接続を維持できるようにした。

 同病院の屋上には、専用のアンテナが設置された。末永さんは「災害拠点病院は地域医療のとりでだ。機能維持の方法を今後も追求していきたい」と話す。

 県や山口大は、人工衛星のデータを活用して被災地域の状況を把握できる仕組みを17年に導入した。

 災害が発生すると、県は宇宙航空研究開発機構(JAXAジャクサ)に、衛星での観測を要請する。その結果を同大の長井正彦准教授(47)(宇宙利用工学)らが分析し、土砂崩れの場所などを割り出して、県の総合防災情報システムに送信。救助などの初期行動計画の策定に役立てる。

 県内でも3人が犠牲となった昨年7月の西日本豪雨では、この方式で岩国、周南両市の土砂崩れの場所を割り出した。だが、被害が甚大だった広島、岡山両県などの観測が優先され、実際に県内のデータが手に入ったのは発生からおよそ10日後。初動対応には生かせなかった。

 この経験を踏まえ、同大は昨年11月、データ提供の迅速化を目指す実証実験を始めた。今後打ち上げ予定の衛星を使用するなどして観測の機会を増やし、必要とされるデータの選別など運用面も改善する。23年頃までにマニュアルの完成を目指す。

 土砂崩れや浸水、道路の寸断や家屋の倒壊といった細かい被害状況について、数時間以内でのデータ提供が可能になる見通しだ。長井准教授は「衛星データの活用は人命と財産を守ることに直結する。全国に展開できる『山口モデル』を確立したい」と語る。

無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
61265 0 宇宙を見上げて 2019/01/07 05:00:00 2019/01/07 05:00:00 山口赤十字病院の屋上にあるアンテナを説明する末永さん https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190106-OYTAI50008-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)