徳山駅ピアノ 交流の音色 周南市設置
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周南市のJR徳山駅に誰でも自由に弾ける中古のピアノが置かれた。不特定多数の人が行き交う公共空間にピアノが置かれるのは県内では珍しいが、全国的に増えており、演奏の音色に誘われて知らない人たちに交流が生まれた地域もある。設置した周南市はまちの新たな魅力につなげたい考えだ。(浜村勇)
徳山駅南北自由通路に置かれたピアノは高さ1・3メートル、幅1・45メートルのアップライトで、約50年前に製造された。所有していた市内の個人が、同市を拠点に活動する男声合唱団「メールソレイネ」に所属する知人の中本
駅や商店街にピアノを置く取り組みは「ストリートピアノ」や「駅ピアノ」などと呼ばれ、海外で見られる。国内でも神戸市が今年1月、かつて幼稚園で使われた1台を期間限定で市中心部の地下街に設置。すると通りかかった人が演奏を始め、通行人たちが足を止めて聴き入り、終了後に感想を言い合うなど交流が生まれたという。
地下街の商店主からも「ずっと置いてほしい」と要望があり、神戸市はピアノを常設することを決定。さらにJR新神戸駅や神戸空港など市内の別の7か所にも1台ずつ置いた。同市の担当者は「行き交う人が急増するわけではないが、まちが明るくなる」と話す。県内でも山口市中心部の広場に置かれている。
徳山駅に置かれたピアノは周南市内の徳山動物園をイメージし、ペンギンのシールを貼っている。設置された10日以降、年配の男性や子どもが演奏する姿が見られるという。メールソレイネの高橋康之団長(65)は「ピアノを通じた音楽が笑顔のあふれるツールになればうれしい。いつか駅でコンサートをやってみたい」と夢をふくらませている。