味わい土壌が決め手 同品種でも個性豊かに

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ブドウ畑の土を確かめる松坂さん(9月19日、山梨市で)
ブドウ畑の土を確かめる松坂さん(9月19日、山梨市で)
畑ごとにタンクを分け、テロワールへのこだわりを見せる渋谷さん(4日、南アルプス市で)
畑ごとにタンクを分け、テロワールへのこだわりを見せる渋谷さん(4日、南アルプス市で)

 「川沿いの砂地で、夜間の気温が下がりやすいことから、酸味のあるブドウになる」。山梨市牧丘町隼の笛吹川沿いの高台にあるワイン用のブドウ畑で、「マグヴィスワイナリー」(甲州市勝沼町等々力)の松坂浩志さん(61)は土地へのこだわりを語る。

 電子部品加工業「塩山製作所」(同市)が日川沿いの工場を改築し、2017年にオープンした異色のワイナリーだ。ベトナムの工場へ生産委託することになり、工場隣にある松坂さんの実家がブドウを栽培していたこともあって、ワイン造りに参入した。

 ワイン造りで意識するのは、電子部品で世界の価格競争に巻き込まれた経験だ。「グローバルな展開を考えれば、他に置き換えられないものとして土地の個性を表現するテロワールという概念が大事になる」と、ローカルの個性を打ち出すことにした。

 甲府盆地の土壌は砂地や火山灰、粘土など様々。畑ごとに土壌を調査した。「土壌の違いで同じ品種でも味に違いが出る」と日本固有種の「甲州」「マスカット・ベーリーA」に特化し、甲州、笛吹、山梨、韮崎各市で畑を持つ。特徴がはっきり出た畑ごとにワインを造る。

 「火山灰が混ざるとミネラル感がある。水はけのよい場所ではアミノ酸が強く、力強さを味わえる」。ワイナリーに隣接する単一畑の甲州から造ったワインは、フルーティーな香りや広がりのある味に仕上がった。

 ラベルのワイン名はアルファベットと3桁の数字で表示する。ブドウの品種をK(甲州)かB(マスカット・ベーリーA)とし、1桁目には収穫地(1が甲州市、2が笛吹市など)を示す。「テロワールを表現し、その場所をイメージしてもらうのが大切。甲府盆地を思い浮かべてもらえるようなワイン造りをしたい」と力を込める。

 全国の土地を実地で調べ、山梨の土地にほれ込んだワイナリーもある。

 渋谷英雄さん(57)が選んだのは南アルプス市だった。15年に同市小笠原で「ドメーヌヒデ」を構えた。「同じ品種のブドウでも土地土地で個性があり、味も形も違う」と感じ、ワインになればもっと差が出ると確信した。

 東京などで臨床心理士として働きながら山梨でワイン造りを学んだ。13年にマスカット・ベーリーAの果汁のきれいなピンク色にほれ込み、ワイナリーを開こうと決意した。

 北海道から四国まで全国38か所を回った。コップ一杯の水を土地にまき、しみ込むスピードを調べた。その結果、一番速かったのが南アルプス市だったという。

 勝沼など屈指の産地ではない土地柄でも、迷いや抵抗はなかった。「道路一本挟んでも土壌が全然違う。畑ごとにワインを造ることに意味がある」と、テロワールを表現することにやりがいを感じている。

 マスカット・ベーリーAを中心とした赤ワインの評判は年々高まっている。「国際的な賞を取りたい。それだけの可能性が南アルプス市にはある」。探し当てた土地から世界を目指す。(渡辺洋介)

無断転載禁止
862272 0 テロワールの探求~山梨ワインの今~ 2019/10/25 05:00:00 2019/10/25 05:00:00 2019/10/25 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191024-OYTAI50018-T.jpg?type=thumbnail

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