スカウト難航地力に差 箱根予選会で失速続出

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応援の学生や保護者に報告する首藤主将(26日、東京都立川市で)
応援の学生や保護者に報告する首藤主将(26日、東京都立川市で)
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 東京都立川市などで行われた予選会後、本大会に進む上位10校の名前が読み上げられる間、山梨学院大の選手たちの表情は暗かった。総合タイム11時間6分14秒。10位中央大とは9分28秒の差がついていた。

 出場権を獲得した他校の歓声が遠くに響く。首藤貴樹主将(4年)は応援に駆け付けた学生や保護者たちに向かい、こわばった表情のまま声を絞り出した。「来年の箱根に出場することはできません」

 厳しい戦いは予想されていた。予選会出場の43校で各校上位10人の1万メートルの平均タイムは山梨学院大11位。圧倒的エースが不在の現チームでは、全員が力を出し切ることを求められた。

 飯島理彰駅伝監督(48)の作戦はこうだった。「序盤は集団で走ってペースを維持し、後半15キロ付近でスパートをかける」。選手たちのコンディションは万全だった。予選会に照準を定めて調整を続け、エントリーした14人に故障や体調不良を訴える選手はいなかった。

 だが、レースは思惑通りに運ばなかった。5キロ地点でのペースは想定より少し遅め。飯島監督は「気温が高いので問題ない」とみていた。しかし選手たちは、全ランナー506人の中でプランよりも後れを取っていると焦って、スピードを上げた。1キロ3分台前半のペースを保てず、集団はバラバラになった。

 ペースの上げ下げが疲労を蓄積させ、10キロ地点までに足をつるなどして失速する選手が続出した。唯一、ボニフェス・ムルア選手(1年)が1時間3分38秒の個人10位に入ったが、中央大とのタイム差は1人あたり1分近く遅いことを意味した。

 「選手たちは練習を完璧にこなした。他校はもっとレベルの高い練習を積んだのか、私の練習計画が甘かったのか」。飯島監督は報道陣に心情を吐露した。

 大学駅伝界の競争は年々激しさを増す。レースの高速化が進み、区間記録は毎年のように塗り替えられる。30年前は箱根の出場校全体で数人だった1万メートル28分台の選手が、現在は80人近く存在する。予選会を走った山梨学院大のランナーではムルア選手だけだ。

 今年1月の箱根駅伝は平均視聴率31・4%。1987年の放送開始以来、過去最高を記録した。人気が高まり、多くの大学がチーム強化に力を注ぐ。上位校はトレーニング設備を充実させ、スカウト専門スタッフを置いて全国から有望選手を呼び込む。

 かつて箱根で上位を争った山梨学院大は、ケニア人選手が他校を突き放す印象が強い。そのリードを保っていたのは、地力のある日本人選手たちだ。高校時代は無名だった選手に声をかけ、丁寧な指導で育てる伝統的な持ち味がある。

 だが、最近は各校がスカウトに力を入れ、選手の獲得が難しくなっているという。初出場から山梨学院大の監督としてチームを率い、関東学連の駅伝対策委員長も務める上田誠仁監督(60)は語る。「箱根で上位に入ろうと、各大学は威信をかけて練習環境を整え、いい選手を集めている」

 スカウトには上田監督やコーチが普段の練習と並行して直接出向くため、限界がある。2016年の総合8位を最後にシード圏から遠ざかり、17年17位、昨年18位、今年21位と低迷した。飯島監督は「結果が出ないと選手が集まらない。選手層が薄いと結果が出にくい。負のスパイラルだ」と頭を抱える。

 再び箱根路を駆けるために、山梨学院大には変革が求められている。

 1987年の初出場から33年連続で東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)に出場してきた山梨学院大陸上競技部のタスキが途切れた。26日に行われた予選会で17位に終わり、令和初の箱根路を走ることはかなわなかった。同大の歩みをたどり、大学駅伝界の競争が激化する中での今後の展望を探る。

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869402 0 途切れたタスキ 山梨学院大 2019/10/29 05:00:00 2019/10/29 05:00:00 2019/10/29 05:00:00 応援の学生や保護者にあいさつをする首藤主将(26日、東京都立川市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191028-OYTAI50018-T.jpg?type=thumbnail

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