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「知名度不足に苦しんでいる。私の方にも支援の輪を」。自民党公認で立候補を予定している新人で前県議の永井学氏(48)は出席者にこうあいさつし、集会の主役である片山さつき元地方創生相とグータッチを交わした。
この集会は比例選に立候補予定の片山氏を支援するため、甲府市内で18日に開かれ、業界団体などから約50人が出席した。ある県議は「有名な先生方の力を借りて『永井』の名前を浸透させていく」と話す。
全国に32ある「1人区」の中で、与野党が
だが、肝心の県連内には温度差がある。候補者選考の過程で生じた亀裂がその原因だ。
候補者選考は1月から約2か月間にわたって行われた。公募によって自薦・他薦された12人のうち、白壁賢一県議(61)(南都留郡、当選4回)が最高点を獲得した。ところが、甲府市議団などから「白壁氏では勝てない」「候補は甲府か衆院山梨1区の地域から出すべきだ」と異論が上がった。茂木幹事長から「若い人か女性を視野に」との要請もあり、最終的に甲府を地盤とし、選考で上位だった永井氏に決まった。地元の候補が幻に終わる形となった郡内地域のある首長は「『(永井氏を)応援する気になれない』との声は少なくない」と漏らす。
県連の足並みがそろわない背景には、県有地の問題を巡る県議間の対立も横たわっている。
富士急行に貸している県有地の賃料引き上げを長崎知事が主張したのに対し、昨年3月、知事に反発する最大会派「自民党誠心会」からの離脱が相次ぎ、自民系は3会派に分裂。さらに永井氏が同5月に誠心会を離脱したことで、県議会は知事派が優勢となった。
こうした経緯もあり、永井氏に同行するのは、知事と距離の近い県議らが中心だ。4月には知事自身が永井氏を連れて郡内地域の首長らに紹介してまわり、誠心会の県議からは「フライングだ。統率が乱れる」との声が上がった。
候補者選考の委員も務めた業界団体のある幹部は語気を強める。「これまでのことを水に流し、一枚岩になれなければ勝てる戦も勝てない」
(この連載は前田遼太郎、村岡拓弥、籾井智行、清水誠勝、高村真登が担当しました)