登山鉄道整備課題も 長崎氏前向き 「官邸と密接に連絡」

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 富士山の山梨県側の麓から5合目を結ぶ「富士山登山鉄道」構想について、新知事に就任する長崎幸太郎氏(50)は整備に前向きな姿勢を見せている。鉄道敷設の検討を公約に掲げ、当選後も「積極的に取り組みたい」と発言している。だが、実現にはいくつものハードルがある。(藤原聖大)

■効 果

 長崎氏は昨年9月の知事選立候補会見で、鉄道各社や観光業者を含めた民間の検討会で自身が事務局に就くと表明。検討会は設立されずに宙に浮いていたが、当選後、「(後藤知事が設けた)県庁の検討会と統合する。官邸とも密接に連絡を取っている」と述べた。

 富士山を巡っては、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)が2013年の世界文化遺産登録に合わせ、多数の登山者が神聖な雰囲気を阻害しているとして対策を要請している。登山鉄道が出来れば、入山者数を管理しやすくなる利点がある。一方で麓と5合目を結ぶ県有料道路「富士スバルライン」は冬場閉鎖されるが、鉄道を利用して通年で5合目までの観光ができるようになる。排ガスを抑制する効果も期待される。

■技 術

 15年には地元観光業者らで作る富士五湖観光連盟などが環境保全などの面から富士スバルラインに鉄道を整備することが望ましいとする報告書をまとめた。同連盟の関係者は「スバルライン上の橋は自動車の荷重に対応した設計。鉄道に耐えられるものに架け替える必要があるが、地盤には問題ないはず」と語る。

 ただ、一部の急カーブでは鉄道敷設のために「山を削る部分もあるかもしれない。崩れてくる砂れき対策も必要」(同連盟関係者)と課題はある。詳細に検討しないと分からない部分は多い。

■許 可

 富士スバルラインや5合目は、自然公園法の「特別保護地区」や文化財保護法の「特別名勝」に重なる部分がある。基本的に現状変更は認められず、工作物を新築する場合は環境省と文化庁の許可が必要だ。

 文化庁文化資源活用課の担当者は「鉄道を敷設する場合、国内法のハードルに加え、イコモス(国際記念物遺跡会議)に報告して認められる必要がある。一筋縄ではいかない」と実現可能性について疑問を呈する。

■理 解

 富士北麓地域の6市町村長に取材したところ、おおむね賛成としたのは西桂町と鳴沢村の2首長。富士吉田市は「(鉄道の)協議会が形成されれば、地元の意見を伝えたい」、山中湖村は「どちらともいえない」、忍野村は「積極的に議論することには賛成」、富士河口湖町は「検討には値する」としている。

 一方、ある首長は「観光や入山者調整の面でメリットが大きいのは確かだが、富士山は世界遺産。商業主義に走るのは好ましくない」と語気を強める。

 また、長崎氏が鉄道に課税して収入分を公立小中学校で25人学級を導入する財源にすると主張している点について、別の首長は「課税分は北麓地域に還元するのが筋」と反発する。今後検討を進める上で、地元への丁寧な説明は欠かせない。

435128 0 ニュース 2019/02/08 05:00:00 2019/02/08 05:00:00 2019/02/08 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190207-OYTNI50044-T.jpg?type=thumbnail

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