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    計1万8000人を超す死者・行方不明者を出した東日本大震災。発生から5年を迎える被災地で復興に情熱を傾ける人々の姿、再生に向けた足取り、災害の教訓を生かす取り組みをお伝えします。
    震災7年

    防災力をアップデート(下) アウトドア術を身につける

    • 防災キャンプに参加し、飲み水にするため多摩川の水をくむ親子ら
      防災キャンプに参加し、飲み水にするため多摩川の水をくむ親子ら
    • メタルマッチで火を起こす
      メタルマッチで火を起こす
    • 川の水でいれたココアをおいしそうに飲む参加者
      川の水でいれたココアをおいしそうに飲む参加者
    • 講師を務めた寒川一さん
      講師を務めた寒川一さん

     楽しみながら備えるーー。東日本大震災以降、アウトドア体験を通じて災害時にも役立つ技術を身につけるプログラム「防災キャンプ」が広がっている。文部科学省主導で各地の小中学校などが取り組んでいるが、民間で実施している団体もある。「訓練」のイメージとは無縁の、まるで遊びのようなプログラムだが、講師は「遊びを通じて得た知識こそいざという時に役立つ」と話す。(地方部・斎藤健二)

    ■多摩川の水でココアをいれる

     2月25日、川崎市多摩川緑地バーベキュー広場で防災キャンプ「カワサキキャンプin多摩川」が行われた。

     「多摩川の水をすくってココアを作ろう」。講師を務めた「STEP CAMP(ステップキャンプ)」(神奈川県横須賀市)代表の寒川一さん(54)が呼びかけると、5組の親子が、コップで川の水をすくってペットボトルに移し替える。「本当に飲めるようになるかな」。水に浮く土や藻を見ながら、子供たちは首をかしげている。

     川の水は浄水器で濾過(ろか)し、煮沸消毒して使う。道具は、寒川さんらが2月に発売した防災セット「ライフライン・サポートパック」。飲料水の確保、火おこし、湯沸かし、充電・照明の4機能に絞り、細菌まで除去できる浄水器と効率よく湯が沸くケトル(やかん)、金属棒をこすって火花を出すメタルマッチ、ナイフ、充電・照明器、リュックをそろえ、総重量は1・5キロ。アウトドア用品として、普段から使うのが前提だ。

    ■金属棒とナイフで火が着いた!

     「ザッ、ザッ」。ナイフの背で金属の棒「メタルマッチ」を擦ると、激しく火花が飛び散る。

     「おー」。牛乳パックに火が着くと歓声が湧く湧く。アウトドア用品として扱われることが多いメタルマッチは、ライターと違いガスは不要。普通のマッチのようにしけてしまうこともなく、なんども繰り返し使える。なにより自分の力で火を起こすことにアウトドアの醍醐味(だいごみ)がある。

     家でも大量保管できる牛乳パックにはロウが塗ってあるため燃えやすく、1枚分でケトルに入れた500ミリ・リットルの水を3分ほどで沸騰させた。

     同市高津区の小学生藤田幸則くん(8)は「火がついたことに驚いた。多摩川の水で作ったココアはおいしかった」と満足そうだった。

    ■遊びの知識が役立つ

     STEP CAMPは2012年に発足。神奈川県内を中心に防災キャンププログラムを50回実施、約1500人が参加した。川の水でココアを作るほかにも、ジッパー付き保存袋を使ってご飯を炊いたり、「ガチャガチャ」のカプセルを活用してヘッドライトを作ったりとプログラムは様々。もちろん、ロープの結び方やテントの張り方を教えることもある。

     文科省も、小中学校などで避難所生活を体験するキャンプを全国で普及させている。

     寒川さんは「防災のためと言われると、義務感やネガティブな印象を持ってしまう。電気やガスのない場所に好んで出かけるのがアウトドア。道具をそろえるだけでなく、遊びを通じて得た知識をいざという時、役立ててほしい」と話している。

    ■アウトドア活用 「防災の知恵」が本に

    • あんどうりすさん
      あんどうりすさん

     防災に役立つアウトドアの知識を分かりやすく記した本もある。2017年に出版された「りすの四季だより」(新建新聞社)。著者のあんどうりすさんは、阪神大震災の被災体験も踏まえ、全国で年間100回以上の講演をこなす「アウトドア防災ガイド」だ。

     同書では、例えば被災時、雨にぬれると低体温症を招き命にかかわると説明。普段からアウトドア用のレインウェアを使っていれば、災害時でもぬれたり蒸れたりせずに風雨をしのげるとしている。また、いつもカバンに入れて使いこなす5点セットとして、スマホ・携帯電話、ホイッスル、LEDライト、マルチツール(「十徳」などと呼ばれる)、そして「知恵ある自分自身」をあげるなど、多くのアイデアを記している。

     あんどうさんは「アウトドアには自分で自分の命を守る知恵が詰まっている。生活に取り入れやすいので実践してみて」と話している

    ■あんどうさんが提案する持ち歩き防災5点セット

    ・スマホ・携帯電話

    ・ホイッスル

    ・LED(ヘッド)ライト

    ・マルチツール

    ・知恵ある自分自身

    (リンク先)

    カワサキキャンプ

    https://www.facebook.com/kawasakicamp/

    STEP CAMP

    https://www.facebook.com/STEPCAMP123/

    りすの四季だより

    https://www.amazon.co.jp/%E3%82%8A%E3%81%99%E3%81%AE%E5%9B%9B%E5%AD%A3%E3%81%A0%E3%82%88%E3%82%8A-%E3%81%82%E3%82%93%E3%81%A9%E3%81%86-%E3%82%8A%E3%81%99/dp/4865270744/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1521693224&sr=1-1

    ■「防災キャンプに行ってみた」(動画)

    2018年04月18日 14時59分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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