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新型コロナウイルス感染症から回復した人の免疫力を治療に生かす戦略に注目が集まっている。回復者の血液には、新型コロナを攻撃する「抗体」ができており、それを活用した新薬の開発も世界的に進められている。(医療部 利根川昌紀、科学部 中居広起)
抗体が十分にある人の血漿を集める
国立国際医療研究センター(東京都新宿区)は4月、回復した人から「
血漿
血液のうち細胞成分である赤血球や白血球、血小板を除いた液体成分。血液全体の約55%を占める。国立国際医療研究センターは、十分に抗体があると確認された回復者から、200~400ミリ・リットルを提供してもらっている。

血漿を集めるのは、新型コロナに特化した治療薬がなく、既存の薬の効果も限定的なためだ。冷凍保存した血漿を今後、患者に投与し、治療効果や安全性を確かめる計画だ。研究責任者の忽那賢志・国際感染症対策室医長は「主に重症化リスクの高い人の治療に役立てたい」と語る。
「効果があった」の報告も…有効性は慎重に判断
血漿を使った治療は、感染症では古くて新しい治療法だ。SARS(重症急性呼吸器症候群)やエボラ出血熱などでも実施されている。医療機関で採取できて簡便なことから、新型コロナでも、今年初めから中国で実施され、重症患者の症状改善などに効果があったとの報告もあった。