休日・夜間の往診サービスに注目…「感染不安」で希望者増、かかりつけ医の負担軽減も期待
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新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、病院が診療時間外となる休日や夜間に、医師による往診サービスを提供する会社が注目を集めている。希望する患者に、近くの提携医療機関の医師を派遣する仕組みで、感染への不安から医療機関の受診をためらう患者らの受け皿になっている。
■防護服も用意
今月9日午後10時前、東京都杉並区の民家前に1台の車が到着した。降りてきたのは往診サービス会社「ファストドクター」(東京)に登録する男性医師(29)たち。手早く防護服を身につけ、民家に入った。
連絡したのは住人の女性(39)で、この日夕方、娘(6)が38度台後半の熱を出した。男性医師の診察で解熱剤が処方され、翌日の往診でPCR検査を実施し、陰性とわかった。女性は「幼い娘を病院に連れて行くのは不安だった。診てもらえて安心した」と話した。
ファストドクターは2016年に設立された。休日や夜間にコールセンターで看護師らが往診の希望を受けつけ、必要な場合は、患者宅近くにある提携先の医療機関の医師が向かう。東京や大阪など8都府県でサービスを提供し、総合病院やクリニックなどに勤務する医師約900人が登録しているという。
以前は発熱した子どもや、病院まで移動手段がない高齢者らの受け皿になってきたが、今は発熱患者や感染を不安がる患者の要望が増加。実際に往診するのは要請の3割程度だが、1月の往診件数は前月より2割増の約5600件に上った。
診察内容はかかりつけ医と共有するほか、患者の状態をフォローして医療機関につなぐこともある。
設立者で代表の菊池亮医師(34)は「コロナで休日や夜間にかかりつけ医らが対応できない例が増えている。カバーしきれない部分を補っていきたい」と語る。