読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

感染症医療を戦略的体制に…新型コロナ「平時」と「有事」で病床を転換【読売新聞社提言】

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 新型コロナウイルス対策で1都3県に出されている緊急事態宣言は21日で解除される。「第3波」では入院できないコロナ患者が続出し、日本の医療体制のもろさを露呈した。今後、感染力が高いとされる変異ウイルスの流行が懸念される。コロナ対策の長期化を前提とし、感染再拡大を抑止しうる体制を戦略的に構築するため、読売新聞社は7項目の対策を提言する。

 日本の人口当たりの病床数は、米英の約5倍で先進国のトップ水準にあり、感染者は桁違いに少ない。にもかかわらず、瞬く間に「病床逼迫ひっぱく」に陥った。

 コロナ患者用に確保されたのは全国の病床(精神科などを除く)の3%余にとどまる。行政の権限が及びにくい民間病院が8割を占め、病床の確保はなかなか進まなかった。感染爆発という有事に迅速に対応できない日本の医療体制の硬直性を浮き彫りにした。

 昨春、感染者の急増で医療が崩壊状態となった米ニューヨーク州では、州政府が知事令を出し、州内の全病院に病床の増設を指示した。各州の州法では、緊急事態での知事による強制的措置を可能としている。

 一方、日本の政府や自治体は昨春の第1波、昨夏の第2波を経験し、第3波まで時間があったにもかかわらず、戦略的に病床を確保する手立てを講じることができなかった。都道府県が政府の目安を参考に立てた病床確保計画は甘さが目立ち、感染拡大地域では増床に追われることになった。

 日本の国内総生産(GDP)に対する総医療費の比率は10・7%(2017年度)で、経済協力開発機構(OECD)加盟国で6番目に高い水準だ。巨額の税金や保険料が医療に投入されているのにもかかわらず、新たな感染症への備えはおろそかにされてきた。

 ベッドは空いていてもコロナに対応できる医師や看護師らが不足し、受け入れが難しい医療機関も少なくない。逼迫していたのはベッドではなく、医療従事者だった。設備と医療人材をセットにしたプランを作り、感染拡大時は医療全体がコロナ診察に軸足を移す体制が求められる。

 コロナ感染症は、重症患者に適切な治療を行えば多くの命を救えるが、そのための重症病床が目詰まりした。症状の改善した患者を転院させ、新規の重症患者を受け入れるサイクルを構築するには、地域内の連携が欠かせない。自治体が中心となり、医療機関の規模や能力に応じた役割分担を早急に決める必要がある。

 感染爆発に備え、仮設の医療・療養施設を迅速に展開する体制作りが重要だ。

 医療現場で過酷な業務につく看護師の負担軽減を図る必要がある。地域のコロナ対応の司令塔となる保健所の体制強化も欠かせない。

 肝心なのは、感染拡大時の医療体制を平時から自治体や地域の医療機関が話し合っておくことだ。政府や自治体、医療機関は今度こそ、危機意識を持って実効性のある医療計画を作る必要がある。政府はこれらの対策を強力に推進するため財政的な支援を行うべきだ。

<提言1>パンデミックでは病床を「有事用」に

https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210321-OYT1T50010/

<提言2>感染爆発に耐える医療計画策定

https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210321-OYT1T50021/

<提言5>仮設医療・療養施設の展開を迅速に

https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210321-OYT1T50036/

<提言6>看護師の負担軽減を徹底

https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210321-OYT1T50078/

<提言7>保健所の職員を増員せよ

https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210321-OYT1T50086/

ワクチン開発・製造急務

 今後の感染再拡大を抑え込めるかどうかは、ワクチンの普及にかかっている。市区町村には、大規模会場での集団接種に加え、診療所や訪問診療による個別接種などを柔軟にできるような計画作りが求められている。

 日本はワクチンの開発や確保で後れを取った。民間調査によると、ワクチン接種が始まったのは、OECD加盟37か国のうち33番目。欧米や中国、ロシアなどのワクチンがすでに実用化されているが、国内のメーカーは臨床試験の段階にとどまっている。

 新たな感染症のワクチンは国の安全保障に直結する。政府は、世界と競争できるワクチン企業の育成や海外メーカー製品を国内で製造する環境整備を国家戦略に位置づけるべきだ。

 従来型と比べて感染力が高いとされる変異ウイルスが流行すれば、現在と同じ対策では拡大を抑えきれなくなる恐れがある。政府は自治体だけでなく、民間検査会社や大学にも変異ウイルス検査の拡充を求めて広範囲で検知できる体制を早期に整える必要がある。

<提言3>国はワクチン確保に全力を

https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210321-OYT1T50061/

<提言4>変異ウイルス 監視で封じ込め

https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210321-OYT1T50068/

 提言は、編集局や論説委員会、調査研究本部の専門記者が、行政や医療機関、専門家らへの取材を踏まえて策定した。

無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
1925888 0 医療・健康 2021/03/21 05:00:00 2021/03/21 06:13:33 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210321-OYT1I50036-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)