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「恐ろしい回転状況」空いた病床、その日に埋まり…医師もギリギリ「帰りは翌朝」

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 北海道大病院(札幌市)で、新型コロナウイルスの診療を統括する今野哲教授(51)が読売新聞の取材に応じ、医療体制の逼迫ひっぱく状況や、過酷な仕事の実態を明かした。病床はフル稼働し、医師が未明まで院内に残ることも増えたといい、「現場は今、ぎりぎりの状態にある」と訴えた。(桜井啓道)

恐ろしい回転状況

過酷な現場の状況を語る今野哲教授(20日、札幌市北区の北海道大で)
過酷な現場の状況を語る今野哲教授(20日、札幌市北区の北海道大で)

 北大病院では、昨年3月から新型コロナの感染者を受け入れている。現在は1日あたり5人の医師と、十数人の看護師が専従で診療。コロナ病床の数は非公開だが、人工呼吸器や、体外式膜型人工肺(ECMO=エクモ)が必要な重症者も複数人入院しているという。

新型コロナの患者を受け入れている北海道大病院(20日、札幌市北区で)
新型コロナの患者を受け入れている北海道大病院(20日、札幌市北区で)

 感染が急拡大した今春以降、全てのコロナ病床は占有状態が続き、今野教授は「空いた病床がその日のうちに埋まる。今までにない、恐ろしい回転状況だ」と明かした。満床でも保健所から受け入れ要請があれば、場合によっては対応せざるを得ない。病室内のベッドの間隔を詰めるなどして、あらかじめ決めた受け入れ可能人数を超える患者を収容しているという。

昼食5、6分

 道内の新規感染者数が当時としては過去2番目に多い604人に達した19日は、スタッフにとっても、特に多忙を極めた一日だった。

 ある医師は、早朝に出勤し、まず全ての入院患者のカルテを確認。防護服を着て、前夜に搬送されてきた患者の様子を確認する一方、入院を続けている患者を回診した。ほかにも、悪化した患者の病状を家族に電話で伝え、退院できそうな患者もリストアップ。この時点で昼を迎えたが、休憩を取る暇はなく、5、6分で昼食をかき込み、再び現場に戻った。

 午後には、若年の患者を受け入れて診察を終えたところで、別の患者の肺炎が悪化したとの連絡が入る。集中治療室(ICU)は埋まっていたが、回復しつつあった1人を一般病棟に移して空きを確保。肺炎が悪化した患者を急いで運び込み、人工呼吸器の装着など緊急処置を慌ただしくこなした。日付をまたぎ、うとうとしかけた頃、別の患者の容体が急変し、最期をみとった。結局、帰宅できたのは翌朝だった。

 「1年前と比べて負担は倍以上に増大した。みんな大学病院の医師として使命感で踏みとどまっている」。今野教授はそう語る。

呼吸器数余裕なく

 このまま感染が拡大し続ければ、本来提供できるはずの医療を提供できない事態に陥る。現場には今、そんな懸念が渦巻いているという。

 運用できる数に限りがある人工呼吸器がその一例だ。患者が増える中で、回復の見込みの少ない重症者に人工呼吸器を着ける余裕はなくなってきた。現在は、年齢や基礎疾患から人工呼吸器を着けても回復が難しいと思われる患者やその家族には、入院時、「札幌市内の感染状況を踏まえると、悪化しても人工呼吸器を着けられない」と伝えている。反発を受けることもあり、今野教授は「この説得は、医師側にとっても精神的につらい」と明かす。

 道内には16日、緊急事態宣言が発令されたが、感染の拡大に歯止めがかからない。今野教授は「感染がさらに広がれば、今までなら助かった人も助からないということが起きかねない」と危機感をあらわにし、「なんとか宣言の効果が出てほしい」と祈るように力を込めた。

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2070217 0 医療・健康 2021/05/22 10:50:00 2021/05/22 10:50:00 新型コロナウイルスの診療の状況について説明する今野教授(20日、札幌市北区の北海道大学で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210522-OYT1I50032-T.jpg?type=thumbnail

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