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【独自】創薬AI開発へ、製薬17社が「社外秘」データ提供…オールジャパンで候補絞り込み

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 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が、武田薬品工業など国内製薬企業17社の「社外秘」のデータを使い、新薬の候補物質を効率よく探す人工知能(AI)の開発に乗り出した。これほど多くの製薬企業がデータを持ち寄り、創薬のためのAIを共同開発することは、世界でも例がないという。欧米のメガファーマ(巨大製薬企業)に対抗するため、オールジャパンで創薬を加速させる。

 基礎研究などで薬になりそうな物質が見つかっても、そのまま薬になることはほとんどない。化学物質は、分子の構造がわずかに違うだけでも、性質が大きく異なることがあるからだ。

 製薬企業はまず、分子構造がよく似た多数の物質を設計し、薬効や毒性、体内での吸収効率など十数項目の試験を重ね、候補物質を絞り込んでいく。「最適化」と呼ばれ、各社の研究員らが経験や勘に基づいて数年間かけて実施する。この過程で各社は多くのデータを社外秘として蓄積する。

 日本製薬工業協会(製薬協)によると、薬の候補物質が実用化される確率は約2万2400分の1程度で、通常はひとつの薬を作るのに10年以上かかる。

 AIに最適化を担わせれば、その確率の向上だけでなく、時間短縮やコスト削減も期待できる。創薬AIを巡っては、京都大や理化学研究所、製薬企業、IT企業など産学の共同研究体が2017年8月から3年かけて、試作した。しかし、この時は社外秘のデータは含まれていなかった。

 今回の事業はAMEDが旗振り役となり、各社からは、候補物質のデータを集め、本格的な最適化AIを作る。AMEDは20年8月、京大や理研などとともに開発に着手。今年度からは、武田薬品工業や田辺三菱製薬など製薬企業17社が加わった。9月にも、企業秘密は守りつつAIに学習を始めさせる。

 5年計画で開発した後、各社が最適化AIを使用でき、薬効などの条件を設定した上で、独自の薬の開発に生かす。

 AMED創薬事業部の寺坂忠嗣調査役は「製薬企業の課題だった最適化の効率をAIで向上させ、創薬を飛躍的にスピードアップさせるとともに、各社の研究員が蓄積してきた専門知の結集をはかりたい」と話している。

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2125858 0 医療・健康 2021/06/15 15:00:00 2021/06/15 15:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210615-OYT1I50060-T.jpg?type=thumbnail

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