読売新聞オンライン

メニュー

コロナ感染で16%亡くなる透析患者、ワクチン待ち望む日々…「年齢も高く重症化リスク高い」

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 腎臓などの病気で人工透析を受ける人が、新型コロナウイルスワクチンの接種を待ち望んでいる。学会などの調査では、昨年3月以降に透析患者でコロナ感染が確認された人の16%が亡くなっているからだ。医療機関も感染拡大に気を配りながら治療を続けている。(佐藤果林)

7割60歳以上

透析室に設置された新型コロナウイルス感染者用の陰圧テント。奥には一般の透析患者用のベッドも並ぶ(東京都内で)
透析室に設置された新型コロナウイルス感染者用の陰圧テント。奥には一般の透析患者用のベッドも並ぶ(東京都内で)

 日本透析医会と日本透析医学会、日本腎臓学会の3団体は昨年3月に「感染対策合同委員会」を設置。会員医師らから全国の透析患者のコロナ感染例や感染後の症状などの報告を受け、取りまとめている。

 それによると、昨年3月から今月10日までにコロナ感染が判明した透析患者は1905人。311人が感染後に亡くなっていた。

 政府や自治体は、コロナ感染後に死亡した人を、死因にかかわらず新型コロナの死者として計上している。厚生労働省の今月17日時点の集計では、コロナの累計感染者約77万人のうち、死者は1万4264人。死亡率は1・8%となる計算で、透析患者の16%は突出する。

 コロナに感染した透析患者の7割近くに当たる1317人は60歳以上だ。3団体合同委の委員長を務める下落合クリニック(東京都新宿区)の菊地勘院長は「多くの患者は糖尿病や高血圧などの疾患から、透析を必要とする。年齢も高く、感染により重症化するリスクはどうしても高くなる」とし、「感染が再拡大し、病床が不足すればすぐに入院できない透析患者が相次ぐ恐れがある」と指摘する。

不安の中通院

 「感染したら命に関わることは理解しているが、透析を受けなければ生きていけない」。NPO法人「東京腎臓病協議会」の事務局長で、自身も透析患者の板橋俊司さん(71)(東京都日野市)は話す。

 板橋さんが慢性腎炎を患って透析を要するようになったのは約15年前だ。週に3回通院し、5時間ほどかけて透析を受けている。隣のベッドとの間隔はカーテンを隔てて1メートル程度。板橋さんは「透析中もマスクを着け、手洗いや消毒などの対策も徹底しているが、不安はある」と明かす。

 新型コロナワクチン接種は、自治体によって差はあるものの、基礎疾患を持つ人らにも対象が拡大している。板橋さんの1回目の接種は今月下旬になる見通しだ。「接種のめどが立ってほっとしているが、まだ油断できない」と板橋さんは語る。

病院にも負担

 コロナに感染した透析患者の受け入れは、医療機関側にとって負担が大きい。

 東京23区内の総合病院は昨年春以降、透析室内に陰圧テントなどを設け、感染した患者を受け入れる体制を整えたが、新型コロナと透析に同時に対応できる医療機関は限られる。

 大規模病院であるぶん、看護師が感染者の宿泊療養施設や他病院へ応援に出向くことも多く、スタッフ数に余裕はない。昨年4月以降、コロナに感染した70人以上の透析患者を入院させてきたが、断らざるを得ないこともあったという。

 この病院の副院長は「容体が急変しても、透析中に準備に時間が必要な気管挿管などの措置を取ることは難しい。変異ウイルスは重症化するスピードが速く、楽観視できない状況だ」と警戒している。

 ◆ 人工透析 =腎機能が大きく低下した人に対し、血液中の老廃物を人工的に取り除く治療法。腕の血管から血液を体外に取り出し、ろ過装置に通してから体内に戻す「血液透析」と、腹部に注入した透析液の浸透圧で血液中の毒素を取り出す「腹膜透析」の二つの方法がある。日本透析医学会の調査によると、2019年末時点の全国の透析患者数は34万人超。多くが血液透析を受けている。

無断転載・複製を禁じます
2135516 0 医療・健康 2021/06/18 15:00:00 2021/06/18 17:15:13 東京都内の病院の透析室には新型コロナウイルスの感染者向けの陰圧テントが設置されている https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210618-OYT1I50063-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)