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【独自】子宮移植、臨床研究を容認へ…「自発的」「無償提供」など条件に

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 病気により子宮がない女性が妊娠、出産するため、第三者から提供を受ける子宮移植の臨床研究について議論してきた日本医学会の検討委員会が、条件付きで実施を認める見解を示すことが分かった。近く報告書を公表する方針だ。国内で実施されれば初めて。

 生まれつきの病気やがん手術などで子宮がないために不妊となる女性は、国内に6万~7万人いると推定される。

 子宮移植は臓器移植法の対象外で、脳死判定を受けたドナー(提供者)からの移植はできない。慶応大のチームは2016年に、生まれつき子宮がない「ロキタンスキー症候群」の患者を対象に、親族から子宮の提供を受ける臨床研究の検討を開始。18年に研究計画書を日本産科婦人科学会と日本移植学会に提出した。両学会が上部団体である日本医学会に依頼し、19年から検討委で倫理的、医学的課題を議論してきた。

 近く公表される報告書では、希望する患者がいる以上、治療の選択肢に認めるべきではないかとの考えから、生体からの子宮移植を排除しない方針を示す。ただし、子宮移植も脳死移植を原則とするべきだとして、臓器移植法の省令改正を提言する。

 生体移植の場合、健康なドナーの子宮を摘出するため負担が大きい。移植後に拒絶反応を防ぐための免疫抑制剤による胎児への影響も懸念される。報告書には、ドナーや患者に説明を尽くし、ドナーが自発的に無償提供に同意していることなどを条件に盛り込む。

 海外では00年にサウジアラビアで初めて実施。20年までに世界で80例以上が行われ、4割の33例で出産に成功した。

倫理面や技術、課題も多く

 日本医学会の検討委員会が子宮移植の臨床研究を認めるのは、病気で子宮のない女性たちの切実な思いを踏まえたものだ。ただし、実施には倫理的、医学的な課題が山積しており、苦渋の決断と言える。

 子宮移植は、赤ちゃんを得ることが目的で、移植した子宮が定着した後、体外受精した夫婦の受精卵を入れる。胎児を育てる子宮の機能は閉経後も残るため、中高年の親族もドナー(提供者)になり得る。

 だが、子宮を移植しても拒絶反応が強く定着しない場合がある。体外受精を繰り返しても、妊娠、出産に至らないケースも少なくない。親族からの生体移植を想定しているが、ドナーの自由意思が担保されているかも大きな課題だ。

 子宮移植が実施されたのはスウェーデンなど世界で80例余りで、医学的技術や知見も十分に蓄積されていない。臨床研究では、手術の安全性に加え、精神面でドナーや患者を支援する体制などの仕組みも求められる。(医療部 野村昌玄)

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2185136 0 医療・健康 2021/07/07 05:00:00 2021/07/07 05:20:22 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210706-OYT1I50186-T.jpg?type=thumbnail

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