都市にある公園を活用しよう

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 東京の街を走ったり歩いたりしていると、外国から来るお客さんがほんとうに多くなったと実感します。

 これは、東京だけでなく、全国的な傾向であるようです。

 大人気の「和食」を始めとして、日本の独特の文化や、長い歴史を背景にした現代日本のさまざまを楽しんでいただけたらと心から思います。

訪日客に学ぶ視点もある

 訪日を機会に、外国からのお客さんに、日本のことをさらに広く深く知っていただくことは良いことだと思います。同時に、これからは「外からの目」を通して、私たち自身、東京、そして日本を見る目も変わっていくのではないでしょうか。自分たちでは気づきにくい、東京や日本の「可能性」にも目が開かれるのではないかと思うのです。

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 先日、都内の公園を走っていて、そうだ、公園の使い方一つをとっても、まだまだ気づいていない可能性があるのではないかと思い至りました。

 ちょうど、東京都が進めている「東京のブランディング戦略」の横断幕が掲げられていたので、そんなことを思ったのかしれません。

東京には緑がいっぱい

 考えてみると、東京にはたくさんの公園があります。人口が密集して通勤ラッシュが厳しいというようなイメージがある一方で、公園や神社など、緑がたくさんあるということもまた、東京の一つの側面なのです。

 上野恩賜公園、日比谷公園、代々木公園などの面積の広いものから、子どもたちが遊ぶような小さな公園まで、東京を走ったり歩いたりしていると、ほんとうにたくさんの公園に出会います。

 公園は、それぞれの方が思い思いの仕方で利用しているようです。昼休みなど、ベンチでお弁当を食べている方をよく見かけます。子どもたちが遊んでいて、それをご両親が見守っているのもお 馴染(なじ) みの光景です。人が何人か集まって談笑しているところにも、よく遭遇します。

公園に潜む可能性を見つける

 一方で、公園の利用の仕方という意味においては、まださまざまな可能性があると感じるのも事実です。

 世界のいろいろなところを旅していると、公園はさまざまな使われ方をしているのがわかります。もちろん、文化的背景や、制度、ルールが異なるので一概には言えませんが、「こういう使い方をしてもいいんだ」と気づかされるという意味では、大切なヒントを与えてくれるようです。

 たとえば、結婚式そのもの、あるいは結婚記念の写真を撮影している光景にはよく遭遇します。どのようなシステムになっているのかはわかりませんが、公園の緑の中で花嫁と花婿が幸せそうにポーズを決めているところを見ると、心が温まります。

 家族連れがのんびりとピクニックをしている様子にも、よく遭遇します。時にはバーベキューをしているのも見かけます。火を使わない場合でも、パンにいろいろなものを挟んで、即席でサンドイッチを作って食べたりしています。

 ある程度広い面積のある公園では、野外の音楽イベントや、演劇を上演しているのもよく見かけます。巨大スクリーンや、最新の音響機器を使って楽しむコンサートは、とても良いものです。

 もちろん、日本でも公園でのイベントは、時折見かけます。日比谷公園などは、さまざまな催し物に出会う機会が多いようです。毎年恒例になっているビアガーデンでビールを飲んで楽しいひとときを過ごした思い出もあります。

 それでも、私たちは、都市にある公園の使い方がうまいとは言えないのかもしれません。まだまだ、公園との付き合い方、その活用の仕方には工夫の余地があるように思います。

花見、新緑の時期にひと工夫

 日本の公園が一番にぎわう季節の一つとして、「お花見」があります。このときばかりは、たくさんの方が公園に繰り出して、のんびりとした時間を過ごします。

 最近では、外国からお花見の季節を目指してやって来るお客さんも増えているようです。あの、お花見のような雰囲気を、他の季節に試してみるのも、楽しいかもしれません。

 例えば、新緑を楽しみながらのピクニック。日本の伝統でもある「お月見」の会を、公園でやるというのも良いでしょう。

 公園の利用法の一番のポイントは、「滞在時間」かもしれません。

 公園の中で、どれくらいリラックスして過ごすことができるか。

 心ゆくまで、自分の大切な人との時間を刻むことができるか。

 ワーク・ライフ・バランスが注目され、心身の健康を維持することの大切さが叫ばれる中で、都市の公園は、もっと注目されてよい存在なのかもしれません。

 緑に囲まれていることは、それだけで人の心を癒やします。忙しい生活を送っているからこそ、時にはゆったりと休んで気分転換をすることが大切です。

安らぎが新発想を生む

 私自身、ランニングの途中で、時には切り替えて公園をゆったりと歩くこともあります。そのようにしていると、ふだん気づかなかった自分の人生のさまざまに思いが至ったり、予期していなかった新しい発想が生まれたりします。

 何よりも、公園には安らぎがあります。外国からのお客さんが公園でのんびりしているのを見て、ああ、そう過ごせば良いんだと気付かされることもあります。

 読者の皆さまも今度、思い切って、ある程度長い時間を公園でお過ごしになってみてはいかがでしょう?

 東京、そして日本がこれからますます発展するために、公園を活用する余地は、まだまだあると思うのです。

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茂木 健一郎  (もぎ けんいちろう) 脳科学者、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。1962年、東京生まれ。東大大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。クオリア(感覚の持つ質感)をキーワードに脳と心を研究。最先端の科学知識をテレビや講演活動でわかりやすく解説している。主な著書に「脳の中の人生」(中公新書ラクレ)、「脳とクオリア」(日経サイエンス社)、「脳内現象」(NHK出版)、「ひらめき脳」(新潮社)など。近著に、「成功脳と失敗脳」(総合法令出版)。

171225 1 世界を脳から読み解く 2018/05/14 03:00:00 2019/01/30 17:38:22 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180508/20180508-118-OYTPI50078-L.jpg?type=thumbnail

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