仕事や子育てから引退、さあ地域に飛び出そう…フレイル講座第4部<上>

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地域デビュー、体験プログラム付き講座…東京・板橋区

 仕事や子育てといった現役時代の役割から離れる時期は、いつか訪れる。フレイルを予防し、元気に暮らし続けるには、社会との「つながり」を維持し、活動量を落とさないことがカギだ。新型コロナウイルスの流行が続いているが、しっかり対策をとり、いきいきとした日々を求めて踏み出したい。

ドキドキのボランティア、「こんな気持ちは久しぶり」

妻から借りたエプロンを着てサラダ作りに挑戦した倉知さん(左)。手際のよさを褒められ、笑みがこぼれた(2月5日、東京都板橋区で)
妻から借りたエプロンを着てサラダ作りに挑戦した倉知さん(左)。手際のよさを褒められ、笑みがこぼれた(2月5日、東京都板橋区で)

 「どきどきしたり、うれしくなったり。こんな気持ちは久しぶりです」

 2月上旬、先輩ボランティアに交じって子ども食堂の準備を手伝った東京都板橋区の倉知(あきら)さん(77)の表情は晴れやかだった。

 「このままでは老け込んでしまう」という思いで区の地域デビュー講座に申し込んだ。この日の実習がボランティア初体験だった。

 昨年6月に退職。趣味と旅行を思う存分に楽しもうと決めていたが、「3か月もすると生活に張り合いがなくなって、何もする気が起きず、出かけるのもおっくうになった」という。

 趣味の機械いじりもいつの間にかしなくなり、好きだったカメラも大半を手放した。これまで仕事一筋で、頻繁に連絡を取り合う知り合いも近くにいない。会話をする機会も減っていた。

 そんな時に出会ったのが「地域デビュー」という言葉だった。ボランティアと聞いて思い浮かんだのは力仕事で、自分は役に立てないと思い込んでいた。1月から参加した講座で心構えを学び、地域で活躍する先輩たちの話を聞くうちに、「自分にも、何かできそうだ」と思えるようになった。

「まだまだ新しいことができる」、先輩に褒められ自信

 退職などをきっかけに外出の機会が減ってしまいがちなシニアに生きがいを持ってもらおうと、地域デビュー講座を開く自治体は多い。その中で、板橋区の講座は、区内17団体の協力で、実際に地域デビューの体験までプログラムに組み込んでいるのが特徴だ。

 企画運営する民間団体の板橋フォーラム実行委員会の飯島弘事務局長は「興味があっても、ボランティア団体を探して電話し、体験を申し込める人はなかなかいない」と話す。自分に合った場所を見つけやすくするため、体験は3か所以上するように求めている。

 料理経験ほぼゼロの倉知さんだったが、「今の子どもってどんな様子だろう」と興味を持ち、子ども食堂を選んだ。この日の体験は約2時間。キャベツを刻んでサラダなどを作った。

 緊張の表情で包丁を握ったが、先輩ボランティアに「手際がいい」と褒められて笑みがこぼれた。「背中を押してもらったから、一歩を踏み出せた。まだまだ新しいことができるんだと自信がついた」と話す。

楽しい仲間とボランティアガイド…東京・井の頭公園

井の頭公園の魅力を語る渡辺さん。ガイドをする際は、念入りに下調べしたファイルを示しながら説明する(3月21日)
井の頭公園の魅力を語る渡辺さん。ガイドをする際は、念入りに下調べしたファイルを示しながら説明する(3月21日)

 「季節によって違う景色が楽しめ、縄文時代からの古い歴史があるのが、この公園の魅力なんです」

 東京都三鷹市の渡辺安浩さん(75)は約4年前、自宅そばの井の頭公園で20人ほどの仲間と一緒にボランティアのガイドを始めた。

 毎月第4日曜に、公園内に案内ブースを設置。石碑や植物を解説しながら池を1周するツアーに希望者を案内するのが最近の主な活動だ。「40代から70代までの、こんな楽しい仲間ができるなんて思ってもみなかった」と笑顔を見せる。

 職場のあった三鷹市に移り住んで、海外勤務の数年を除いて40年ほどは市内で暮らしてきた。だが、無線技術のエンジニアとして、忙しい時は土日も出勤した「会社の人」。子どもが幼い頃には地域のお祭りに参加もしたが、15年前から暮らす今のマンションは町内会に入っていないこともあり、地元に知り合いはほとんどいなかった。

興味に従って行動、「意外な世界につながるかも」

 約7年前、街の書店で見つけた「井の頭公園検定」の対策本が新しい出会いのきっかけだった。公園の記念事業として実施されていたご当地検定で、様々なうんちくが並んでいた。今まで知らなかった地元の歴史を学ぶことにのめりこみ、最難関の1級に合格した。

 地元観光協会などの勧めで合格者のチームを結成。いずれも公園をこよなく愛する老若男女のメンバーはすぐに打ち解け、「ボランティアでガイドをしてみよう」という話になった。

 仲間たちとは、打ち合わせで定期的に顔を合わせ、公園についての様々な情報交換で盛り上がる。「自分の興味に従って行動してみたら、意外な世界につながった」と振り返る。

 新型コロナウイルスの感染拡大への警戒から、今はガイド活動は休止中だが、仲間たちと一緒に再開できる日を心待ちにしている。

社会との「つながり」、予防の好循環に

 フレイル予防では、社会との「つながり」も注目されています。食事や運動の大切さはイメージしやすいものの、一人きりで良い習慣を続けるのは難しいなど限界もあるためです。

 趣味の集まりやボランティア活動も含め、社会との「つながり」があると、しっかり食事をとったり、運動したりすることを楽しい習慣にできそうです。外出や会話の機会が増えることにもつながり、予防の好循環が期待されています。

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