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「令和」という美しい響きの元号とともに、新たな時代が始まろうとしています。令と和という漢字の組み合わせにはいろいろな解釈があると思いますが、私はクール・ジャパンだなと感じました。カッコいい日本を世界に発信していく。今、世界で注目されている国である日本にふさわしいと思います。
西洋と東洋、アンチエイジングも違う

先日、ヨーロッパでアンチエイジングに関する国際会議があり、日本の代表として「日本流のアンチエイジング」という演題で講演をしてきました。西洋と東洋では、社会の成り立ちも大きく異なります。
西洋は「個」を重んじ、東洋は「和」を重んじます。西洋史学者の木村尚三郎(1930~2006年)は、西洋人を「声の人」、日本人を「目の人」と呼びました。声高に自分を主張するのが西洋の人なら、
西洋の人はからだの輪郭で加齢を判断しますが、私たち日本人はむしろ肌のきめといった「質」を重視します。「モチモチ」や「しっとり」に相当する言葉は、西洋のアンチエイジングの辞典には登場しません。
体質、個性を形成する遺伝子の「違い」
美しく、そして手間のかかったいくつもの小皿が運ばれる懐石料理に、西洋の人は感嘆します。一方、私たち日本人がフランス料理を1週間食べ続けることは、よほど若くない限り至難の業です。4、5日もすると「さっぱりとしたものが食べたい」と思うはずです。
ヒトを対象とした医学は世界共通ですが、遺伝子の違いは、社会・文化・食生活に大きく作用します。ヒトゲノムがすべて解読されても、遺伝子の違いを反映した医学はまだまだ発展途上にあります。
すべての遺伝子を解析することを全ゲノム解析といいます。かつては、一人の人間の全ゲノム解析を行うのに
同じカロリーを摂取しても、どのように代謝するかは、遺伝子のちょっとした違いが影響し、筋肉を作ったり、体脂肪になってしまったりという結果の違いとなって表れます。
日本人に合ったアンチエイジングを
認知症についても、遺伝子的に認知症になりにくい人と、なりやすい人があることがわかっています。興味深いことに、アフリカでは認知症から自分を守る「保護作用」がある遺伝子を持っている人が、私たちよりも多い傾向にあります。
平均年齢が50歳に満たないような時代では、そもそも認知症になる人は少なかったはずです。おそらくアフリカでは、認知症から保護してくれる遺伝子があると、むしろ若い時に子孫を残していくことに有利だったのかもしれません。
認知症はそもそも長寿であること、環境や生活習慣が発症に関与しますが、遺伝子からみると、自分は認知症になりやすいという遺伝情報があらかじめわかっていれば、具体的なアンチエイジングの手段を講じることは可能です。
遺伝子は本来、一生変わらないものですが、遺伝子修飾と言って、どの遺伝子を働かせるかを調節する部分は、臓器や細胞ごとに異なるうえに、環境や生活習慣により大きく変わることが分かってきました。iPS細胞は遺伝子修飾をリセットするものです。例えば、運動をすることで、この遺伝子修飾を変えることができることがわかっています。
日本人のアンチエイジングは日本の社会、食習慣、生活習慣に根ざしたやり方で進めていきたいですね。
