疲労減らす貝料理、アンチエンジングでも注目

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順天堂大学大学院教授、泌尿器科医 堀江重郎

 改元に伴う10連休も終わり、久しぶりに仕事に戻ってお疲れの方も多いのではないでしょうか。疲れた時にお勧めしたいのが、貝料理。アサリがたっぷり入った深川丼などは最高だと思います。アサリやハマグリは今が旬。読者のみなさんの中には、連休中に潮干狩りに出かけた人もいるかもしれませんね。

日本人の貝類消費量は激減

写真はイメージです
写真はイメージです

 貝類は、はるか昔から我々の祖先の食卓に上っていたようです。縄文時代の貝塚から出土したおびただしい量の貝殻を見ると、いかに彼らが貝からタンパク質やミネラル、ビタミンといった必須栄養素を摂取していたかがよくわかります。

 しかし、私たちの貝類の消費量は昭和の頃と比べると3分の1以下に減っています。この10年間を見ただけでも、消費量は30%減りました。

 理由として挙げられるのが、アサリ、ハマグリ、シジミといった二枚貝の漁獲量の激減です。例えば、瀬戸内海ではアサリの漁獲量が最盛期の100分の1以下に減るという危機的な状況です。漁獲量が減ったことで価格が上昇し、食卓に上らなくなったのです。

 貝類は森の樹木と同様、環境にも大きな貢献をしています。アサリは海水中の植物プランクトンをこし取ってエサにしており、海水を浄化します。海水をこす能力は非常に高く、農林水産省のホームページの情報によると、東京湾に住む全部のアサリで、東京湾の海水の全量を1年間に2回こしていると言われています。

貝類は優れたアンチエイジング食

 人間にとって貝類は脂肪分が少なく、低カロリーで、栄養価が高い貴重な食べ物です。アサリやハマグリには、貧血を改善する鉄分や、亜鉛が含まれています。また、血圧の上昇を抑え、コレステロールや血糖値を下げるのに有効な栄養成分であるタウリンも多く含まれています。特に、アサリにはビタミンB12が多く含まれているので、疲労回復に効果があります。

 貝類は亜鉛の重要な供給源にもなっています。亜鉛という漢字は、鉛の亜流というような意味で、何だかあまり大事ではない元素ではないかと思われがちですが、体の中で亜鉛は、鉄の次に多い必須微量元素です。

 亜鉛にはDNAと結合して遺伝子の働きを高めたり、精子の形成に関係したり、免疫細胞に働きかけてウイルスへの抵抗力を強くしたり、といった大事な働きがあります。

ところが最近、日本人の血液中の亜鉛濃度は、若い人から高齢者までのあらゆる年代層でかなり減っていることがわかってきました。これにはコンビニ食に代表されるような加工食品が関係している可能性があります。

 加工食品には鮮度を保つためにさまざまな食品添加物が含まれていますが、その中には亜鉛などのミネラルと結合して、亜鉛を体に吸収しにくくする作用のあるものがあります。

 貝類を食べなくなったのに加え、食品添加物の摂取が多くなったことで、体の中の亜鉛が減ったと考えられています。亜鉛が減ると、活力の低下、食欲低下、抑うつが見られ、髪の毛もパサパサになります。高齢者においては、褥瘡(じょくそう)(床ずれ)や、味覚障害が起きることもあるでしょう。妊活を考えている世代や、テストステロン(男性ホルモン)が減少している人にも亜鉛は大事です。

 優れたアンチエイジング食である貝類を、ぜひ積極的に日々の食事に取り入れましょう!

堀江 重郎
プロフィル
堀江 重郎( ほりえ・しげお
 順天堂大学大学院教授。泌尿器科医。日米で医師免許を取得し、泌尿器科学、腎臓学、分子生物学を学ぶ。国立がんセンター中央病院、帝京大学教授などを経て、2012年より現職。アンチエイジング医学を研究する医師が集う日本抗加齢医学会理事長。手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を駆使する泌尿器科医のトップランナーとしても知られる。
無断転載禁止
580700 0 アンチエイジングな生活 2019/05/13 17:46:00 2019/05/13 17:46:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/05/20190509-OYT8I50053-T.jpg?type=thumbnail

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