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ピルと向き合う<1>月経と重なり受験失敗

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 「生理で人生が狂うなんて……」。センター試験に月経が重なった。毎回、寝込むほどの症状に見舞われてきた。この時も頭痛にだるさ、多量の出血。特に腹痛がひどく、おなかも壊し、何度もトイレに行った。

 東京都内に住む大学2年生のAさん(21)は2年前の春、希望の大学に合格できず浪人した。「勉強不足は否定しないけど、よりによって、なぜこのタイミングなのって思いました」

 低用量ピルを飲もうと考えた。女性ホルモンを調整して排卵が起こらないようにし、子宮内膜が厚くなるのを抑える。月経前後の腹痛や下痢といった月経困難症の治療や、避妊の目的で、毎日服用する飲み薬だ。

 高校の保健の授業でこの薬について学んでいた。母親に説明したが、副作用への懸念や、「性に奔放な人が飲むイメージ」が強く、理解を得られなかった。お小遣いを握りしめて一人、婦人科を受診した。

 Aさんの母親と同じような考えを持つ人は多い。日本家族計画協会(東京都新宿区)の2016年の全国調査で、女性の回答者約700人のうち、低用量ピルを知っていたのは5割、実際に使っていたのは3%だった。先進国でパートナーがいる女性の平均18%と比べて少ない。服用しない理由に半数が「副作用への心配」を挙げた。

 飲み始めは、むくみや頭痛などが考えられる。まれに重い副作用として、血が固まりやすくなる。血管内で血が固まり、それが肺で詰まる可能性がある。妊娠中や産後に起こるリスクよりはるかに低いが、1万人あたり数人の割合で起こる。

 予防には血液や血圧の検査が重要で、Aさんは今も定期的に受診し、服用を続ける。月経前後の症状や気分の落ち込みなど体調の波はうそのように落ち着いた。

 そんな中、低用量ピルの服用を明かすと、驚く同世代の友人が少なくなかった。「彼氏に飲むように言われたの?」と誤解する人もいた。「ピルを飲むと不妊になる」との誤った情報を信じる人も多い。

 排卵や月経は、女性の体に負担がかかる。出産の年齢が高くなり、回数も減っている現代では、生涯の排卵や月経の回数は増えている。低用量ピルの服用には体を守る側面がある。

 「健康に生きるための選択肢として大事なことなのに、みんな知らなくていいのかな」。今、中高生に性の正しい認識を伝える活動を行うNPO法人ピルコン(東京都)に参加している。「私は薬を飲んで生きやすくなった。体の不安や疑問をもっと話しやすい社会にしたいんです」

 (このシリーズは全5回)

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775550 1 医療ルネサンス 2019/09/03 05:00:00 2019/09/03 05:00:00

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