読売新聞オンライン

メニュー

ピルと向き合う<5>正しい性の知識広める

[読者会員限定]
メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

ピルコンの今後の活動や社会の現状についてメンバーと話し合う染矢さん(8月、東京都内で)
ピルコンの今後の活動や社会の現状についてメンバーと話し合う染矢さん(8月、東京都内で)

 「もっと身近な選択肢になればいいな」。若者に性の正しい知識を広める活動を行うNPO法人ピルコン(東京都)理事長の染矢明日香さん(33)が話す。月経困難症の治療や避妊のための低用量ピルは、医師の処方箋がないと手に入らず、国内ではあまり普及していない。

 そう考えるのは、染矢さん自身の経験が大きい。大学3年の20歳の時、薬局で妊娠検査薬を買い、試しに使ってみた。「ただの生理不順。簡単には妊娠しないだろうし、大丈夫」。陽性の結果に目を疑った。婦人科で妊娠が確定した。

 同じ大学生だったパートナーや、親に相談した。育てることも考え、悩みに悩んだ末、人工妊娠中絶を選んだ。意思は尊重してもらったが、「当時の感情は今もうまく言葉にできない」。

 女性自ら避妊する方法の一つに低用量ピルがあることを知ったのは、この時が初めて。友達も避妊の知識は同じレベル。予期せぬ妊娠は、誰の身にも起きることではないか。当時調べると、2000年代前半の年間中絶件数は30万件以上。現在の約2倍だった。

 「早く正しい知識に出会っていれば、私も妊娠を防げた。人生を左右することなのに、知る機会がないのはおかしい」

 学生仲間と、産婦人科医を招いて講演会を開くなどの活動を始めた。卒業後も続け、13年に現在のNPO法人を設立した。主に中高生へ性教育を行う。今の学校の性教育に限界があると考えるからだ。

 東京都足立区の中学校で昨年、ピルやコンドームなどの避妊方法、性行為や中絶を取り上げた授業が行われた。ただ、学習指導要領では、避妊や中絶を扱うのは高校で、性行為はそもそも扱わない。

 この授業は、都議会や都教育委員会で議論され、原則として指導要領に沿うようにと確認された。

 ただ、強制性交などの性犯罪にあった場合、被害者は13歳以上なら、同意の有無が問われる。染矢さんは「中高生であっても、性に関する知識を知っておくことは重要だ」と指摘する。

 子どもたちに伝える時に大切にしているのは、自身の体を知って大事にしてほしいということ。ピルのことも話す。緊急避妊薬なら望まない妊娠を防げる。毎日飲む低用量ピルなら、男性任せでなく自ら避妊できる。月経に伴うつらい症状を和らげることができる。

 「性の知識は恥ずかしいことではない。自分を大切にするために必要だと、みんなに知ってもらいたい」(鈴木希)

 (次は「大人の先天性心疾患」です)

無断転載・複製を禁じます
786227 1 医療ルネサンス 2019/09/10 05:00:00 2019/09/10 05:00:00 ピルコンの今後の活動や社会の現状についてメンバーと話し合う染矢さん(東京都内で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190909-OYT8I50043-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)