読売新聞オンライン

メニュー

[外国人材@日本]共生を支える<1>「すごろく」で育児後押し

[読者会員限定]
メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 9月初旬、ネパール人で横浜市の主婦ラクシャ・アリヤルさん(38)は長女エステュティちゃん(4)を幼稚園に迎えに行った帰り道、自宅近くの公園のベンチで1枚のカラフルなA3判の紙を広げた。

 「ほら、ここに幼稚園があるよ」「ほんとだ」

 妊娠から出産、乳幼児健診、保育園・幼稚園、小学校の入学準備まで、子どもの発達に応じて何をすべきなのかを、イラストとネパール語ですごろく風に紹介した子育てチャートだ。

 かながわ国際交流財団が作成し、神奈川県内の母子手帳交付窓口や子育て支援センターなどで配っている。英語、中国語、タガログ語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語版もある。チャートは同財団のサイト(http://www.kifjp.org/child/chart)でも見られる。

 担当者は「子育てをめぐる日本のシステムは非常に複雑でわかりにくい。イラストを多用し、一目で流れがわかるものにしたかった」と狙いを話す。

 日本で子育てする外国人は増えている。厚生労働省によると、2017年に日本で生まれた子どもは96万2731人。うち父母の片方か両方が外国人の赤ちゃんは3万4800人と、28人に1人を占める。

 ラクシャさんは、水資源研究者の夫(39)と13年に来日した2年後、長女を産んだ。当時は日本語もあまり理解できず、今何をすればいいのか、どんな支援制度があるのかわからず、ストレスが積み重なった。

 他の同郷のママたちの中には「日本での子育てはとても無理」と、赤ちゃんを祖国の両親やきょうだいに預けたり、夫を残して母子で帰国したりする人もいた。

 育児に悩んでいた頃、市内の子育て支援拠点でこのチャートを見つけ、ネパールでは有料であることが多い予防接種が無料で受けられることに感激した。「わかりやすい」と周囲の外国人ママたちにも薦めた。

 同財団は今年2月、外国人父母を支援する医療や行政、NPO関係者向けのガイドブックを発行した。企画担当の福田久美子さんは「お互いの文化を知り、顔の見える関係づくりを進めることで、海外から来た人たちが少しでも安心して子育てできる環境を整えていきたい」と語る。

        ◇

 多くの外国人が日本に住み、旅行で訪れる中、がん、妊娠など病気や様々な医療的課題に向き合うことも増えてきた。外国人材の拡大が叫ばれ、東京五輪・パラリンピックを控える中、どんな課題があるのか、当事者や支える人たちの思いとともに紹介する。

 (このシリーズは全5回)

無断転載・複製を禁じます
811720 1 医療ルネサンス 2019/09/25 05:00:00 2019/09/25 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)