大槌町の「風の電話」、老朽化で7年半ぶり新調

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アルミ製に新調された「風の電話」。思いを伝えたい人の来訪を待つ(大槌町で)
アルミ製に新調された「風の電話」。思いを伝えたい人の来訪を待つ(大槌町で)

 東日本大震災などで犠牲になった人に思いを伝える場所として、多くの人が訪れる岩手県大槌町浪板地区の「風の電話」の電話ボックスが、老朽化により、約7年半ぶりに新調された。設置者の佐々木いたるさん(73)がインターネットで呼びかけたところ、全国から善意が寄せられた。「多くの温かい心のおかげ」と感謝する。

 「7年前の震災で亡くなった子どもたちへ もう7年がすぎました。突然のことで苦しかったね。こわかったね。もし天国に学校があったらそこでお友だちと仲良くしてね。また来るね」

 「風の電話」は、高台にある佐々木さんの自宅庭園にあり、誰でも自由に訪れることができる。ボックスには、線のつながっていないダイヤル式の黒電話とノートが置かれ、ノートには、来訪者が「もう会えない大切な人」に向けて書いたメッセージが並んでいる。

 佐々木さんは、2009年に病気で亡くなった親戚の遺族のために「風の電話」を思い付いた。震災から間もない11年3月末に完成させ、震災だけでなく、大切な人を失った人たちが受話器を取り、「見守っていて」「会いたいよ」と打ち明け、心を癒やす場として知られるようになった。これまでに3万人以上が訪れたという。

 先代のボックスは木製だったこともあり、雨や潮風にさらされて次第に劣化が進んだ。15年には強風で倒壊し、地元の大工らが修理したが、土台が腐食して再び倒れる危険があった。佐々木さんは交換することを決断、今春にブログで呼びかけた。

 すると全国から反響があった。門扉などを手がける千葉市の「晶成産業」から「無料で作りたい」との申し出があり、佐々木さんは製作を依頼。集まった寄付金約100万円を費用の一部に充てた。

 同社の提案により、新しいボックスは、さびが目立ちにくく長持ちするアルミ製にすると決定。8月中旬、茨城県のボランティアグループのメンバーら約30人が設置してくれた。同社の洞口智宏副社長(65)は設置で初めて被災地を訪れた。「損得は無関係。協力できて良かった、と心から感じた」と話す。

 役目を終えた先代のボックスは、庭園内にオブジェとして残した。三陸沿岸道路の建設により、庭園から見えていた海は眺望できなくなったが、耳を澄ませば波の音が今までと変わらず聞こえる。

 「まだまだこの場所を必要とする人たちがいる。新しくなった風の電話をずっと残していきたい」。佐々木さんは、そう思っている。(柿沼衣里)

40353 0 国内 2018/09/09 14:56:00 2018/09/09 14:56:00 2018/09/09 14:56:00 アルミ製に新調された「風の電話」(24日午後4時16分、大槌町浪板で)=柿沼衣里撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180909-OYT1I50010-T.jpg?type=thumbnail

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