アーチ型防潮水門、廃止へ…大阪の街守り半世紀

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開いた状態の尻無川水門(大阪府提供)
開いた状態の尻無川水門(大阪府提供)
昨年9月の台風21号でも高潮の浸入を防いだ(大阪府提供)
昨年9月の台風21号でも高潮の浸入を防いだ(大阪府提供)

 半世紀にわたり大阪の街を高潮から守ってきたアーチ型防潮水門(3基)が、廃止されることがわかった。アーチ型は全国でも大阪しかなく、昨年9月に関西国際空港が水没した台風21号でも、市街地への高潮浸入を食い止めた。南海トラフ巨大地震などで想定される津波で故障する恐れが浮上しており、管理する大阪府は、新年度から新たな水門の設計に乗り出す。

 3基の防潮水門は、いずれも大阪市西部にある安治川水門と尻無川水門、木津川水門。ジェーン台風(1950年)や第2室戸台風(1961年)で大阪にも甚大な被害が出たことを受け、府が「超大型台風の高潮に対処できる設備を」とそれぞれ約31億~26億円かけて1970年に造った。

 平時は資材の運搬船などが行き来するため、川にアーチがかかったように30メートル近い高さまで開いているが、大型台風が近づけば電動で約40分かけて90度回転し、潮の遡上そじょうをせき止める。6・1メートルまでの高潮を防ぐことができ、これまでに11回稼働した。

 大阪湾で3・29メートルと過去最高の潮位を記録した昨年の台風21号でも、閉じた水門を境に海側と川側で約3メートルの水位差になったが、高潮が越えることはなく、国土交通省は他の防潮設備と併せて「17兆円の被害を防いだ」としている。

 一方で、津波を想定した設計にはなっておらず、有識者で構成する府河川構造物等審議会は2017年、津波の水圧で故障して開かなくなれば、逆に川の水をせき止めて洪水を引き起こす危険性があることなどを指摘。南海トラフでは大阪市に最大5・1メートルの津波が押し寄せ、府内の犠牲者が最悪で約13万4000人に上ることが想定されており、府は新たな水門の形状や建設位置などの検討を始めた。

 現時点では停電しても自重で垂直に防潮扉が下りる「ローラーゲート式」の水門を、今の水門近くに造る案が浮上。新年度にも設計作業に着手するが、完成までには10年近くかかる見込みという。アーチ型の3基の寿命は2031年~41年とされており、新水門ができた後、解体される予定だ。

 アーチ型防潮水門は月1、2回ペースで試運転が行われ、多くの市民が見学に訪れるなど地域のシンボルとしても親しまれている。府西大阪治水事務所は「南海トラフの津波から街を守るために、『想定外』があってはならない。機能面はもちろん、地域の人に親しんでもらえるようなデザインにしたい」としている。

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416147 0 国内 2019/02/01 02:55:00 2019/02/01 03:02:01 2019/02/01 03:02:01 完全に開いた状態の尻無川水門(大阪市内で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190130-OYT1I50029-T.jpg?type=thumbnail

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