[震災8年]心の相談 なお2万件…ケア6年「救われた」 20代男性

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 東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県で、心の悩みを抱える被災者の相談が後を絶たない。震災後に国が3県に設置した窓口だけでも、寄せられている相談は毎年約2万件。対応する相談員の不足という問題も浮上している。

■ストレス

 宮城県石巻市の「からころステーション」。震災後にできた被災者の心のケアを行う民間施設で、市内の男性(21)は約6年、支援を受けている。

 中学1年の時、津波で父親を亡くした。仮設住宅での生活を余儀なくされ、家族との「近すぎる距離感」がストレスになった。母親との口論は毎晩2~3時間。眠れなくなり、不登校にもなった。

 高校に進学し、からころステーションの相談員と出会った。相談員は毎週訪問し、悩みを聞いてくれた。少しずつ心が落ち着くと、母親との口論も収まった。日常生活が普通にできるようになり、高校を卒業。今でも相談に通うが、福祉関係の仕事に就く目標ができ、通信制の大学で学んでいる。男性は「長い間、向き合ってくれたことで救われた。自分一人では無理だった」と振り返る。

■高止まり

 復興庁は2011~12年、被災者の相談窓口「心のケアセンター」を3県に設立した。社会福祉士や臨床心理士らが相談員として配置され、電話や自宅訪問をし、通院の必要性などを判断している。

 センターへの相談件数は3県合計で12年度が2万2345件。14年度が2万4206件でピークとなったが、17年度も1万9681件で高止まりが続く。

 相談内容は様々で、眠れなくなり飲酒量が増えたことを訴える内容のほか、「地震速報を見ると調子が悪くなる」「自宅再建先で周辺住民に溶け込めない」など。若者からの相談が増える傾向もあるといい、心の悩みから、うつや自殺に至る重大なケースも出ている。

 相談業務は国の機関のほか、国の財政支援を受けた「からころステーション」のような民間団体も担っている。

■人手不足

 現場では、相談員不足の問題も出ている。

 「ふくしま心のケアセンター」(福島市)では13年度に45人いた相談員が業務多忙などを理由に退職し、18年度は一時、29人にまで減少した。福島市などを管轄する県北方部センターでも今年1月、相談員5人で40人以上に対応。2人1組の対応で、25人を1人で担当する相談員もいる。センターの渡部育子業務部長は「支援の手が回らないのが現状。相談員が心の病になるケースもある」と説明する。

 自治体に人材を派遣する「みやぎ心のケアセンター」(仙台市)は宮城県気仙沼市に相談員を送る。市の担当者は「市単独で活動を続けるのは難しい」と話す。

 今後の支援のあり方について、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の金吉晴所長は「地元での活動経験と地域医療などの専門知識を組み合わせた人材育成の仕組みが必要だ。多くの人が気軽に悩みを相談できるサービスの充実につながる」と指摘する。

479411 1 国内 2019/03/09 15:00:00 2019/03/09 15:00:00 2019/03/09 15:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/03/20190309-OYT1I50033-T.jpg?type=thumbnail

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