さい銭も「スマホ決裁」投げ入れる行為に意味?

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 「西国三十三所」の三番札所・粉河寺(和歌山県紀の川市)は、スマートフォンを使ってさい銭を納められる仕組みを導入した。若い世代や外国人観光客を中心に進む「キャッシュレス化」に対応したもので、QRコードを読み込んで額を選ぶだけ。「手持ちがないときに便利」などと関心を集める一方、「ふさわしくない」などの疑問の声も上がっている。(坂戸奎太)

さい銭箱の上にあるパネルには額ごとのQRコードが並ぶ(和歌山県紀の川市の粉河寺で)
さい銭箱の上にあるパネルには額ごとのQRコードが並ぶ(和歌山県紀の川市の粉河寺で)

 本堂前に置かれたさい銭箱の上部に、「100円」「300円」「500円」「1000円」の4種類のQRコードが並ぶ。

 参拝に訪れた男性会社員(32)は、スマホを取り出して「100円」のQRコードを読み取ると、手続きを進め、「支払う」のボタンを押した。「ペイペイ」と音が鳴り、「お供え」は完了。男性は「違和感もあるが、最近は現金を持ち歩かないこともあるので便利」と笑顔で話した。

 

■お守り授与も

スマホでQRコードを読み込む参拝者(和歌山県紀の川市の粉河寺で)
スマホでQRコードを読み込む参拝者(和歌山県紀の川市の粉河寺で)

 粉河寺の逸木盛俊管長(62)によると、若い参拝者の「スマホ決済でお守りを手に入れたい」との声がきっかけとなり、「現金を持たない人が増えている。さい銭は多くの人の目に付くし、面白そう」と3月中旬に導入。さい銭だけでなく、お守りの授与などの際もスマホ決済できるようにした。

 ただ、現状では、小銭などの現金をさい銭箱に入れる参拝者が依然として圧倒的に多く、「現金でないと味気ない」「心がこもっていないように感じる」と疑問視する声も多いという。逸木管長は「もっとキャッシュレスが浸透すれば、自然なことになるのでは」と期待する。

 さい銭のスマホ決済は、「四国八十八か所」の二十二番札所・平等寺(徳島県阿南市)や日光二荒山神社(栃木県日光市)が導入するなど全国で広がりを見せている。中国など社会全体でキャッシュレス化が進む地域からの参拝者の利便性向上が目的だ。さらに、▽さい銭盗対策になる▽小銭を回収する手間が省ける――といったメリットもあるという。

 

■おはらいの説

 こうした動きに対し、県内の複数の寺社から、「伝統にそぐわない」「風情がなくなる」などの否定的な声があがる。

 元々さい銭とは、祈願成就のお礼などとして神仏に奉納するもので、お金をさい銭箱に投げ入れる行為自体が、「おはらい」の意味を持つとの説もある。

 紀州東照宮(和歌山市)の西川秀大禰宜ねぎ(45)は「昔は神様に米を供えた時代もあったので、供えるものが変化していくのは時代の流れ」としながらも、「ただ、『実体の見えないもの』でいいのかどうかは分からない」とする。

 また、ある県北部の寺院関係者は「インターネットにつながることで、参拝者や寺の情報が漏えいしたり、盗み出されたりしないだろうか。祈りの場が、犯罪に関わるようなことになってはならない」と危惧する。

 現時点では、粉河寺に追随する動きは見られないが、「反響次第では導入したい」と関心を寄せる声も複数あり、今後、一気に広がる可能性もありそうだ。

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628641 0 国内 2019/06/09 12:24:00 2019/06/09 12:51:07 2019/06/09 12:51:07 さい銭箱の上に立つパネルにはQRコードが並ぶ。利用者は、供えたい金額のQRコードをスマホで読み取る(19日、紀の川市の粉河寺で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/06/20190608-OYT1I50049-T.jpg?type=thumbnail

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