「よく通る女性の声」、実はAIアナウンサー…九州大雨時に活用

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AIアナウンサーに読ませる原稿を確認するスタッフ=井上公史撮影
AIアナウンサーに読ませる原稿を確認するスタッフ=井上公史撮影

 多くの地域が冠水した九州北部の記録的な大雨の際、佐賀市のコミュニティーFM「えびすFM」で、7月に本格的に導入されたばかりの「人工知能(AI)アナウンサー」が活用され、被害・避難情報などを放送した。台風や地震などの災害時は人手が不足する場合が多く、人に代わって昼夜を問わず最新情報の放送を続ける新たな手段として、全国でも導入が進む。(井上公史)

 「土砂災害により被災したため、次の地域で断水します」

 佐賀、福岡、長崎の3県に大雨特別警報が発表された8月28日。えびすFMのAIアナウンサーがよく通る女性の声で原稿を読み上げた。運営会社の代表取締役、池田真由美さん(59)ら限られた人数のスタッフが市から集めた情報をパソコンで入力し、自動音声化された情報が放送された。

 同市内が広く冠水したこの日、池田さんは自宅近くの局に、膝あたりまで押し寄せた水をかき分けるようにして到着した。生放送開始時間の午前7時までに出社できたパーソナリティーは1人だけ。AIが原稿を読み上げる間に食事や休憩を取ってもらい、なんとか乗り切った。

 えびすFMは、地域密着型のラジオ局として佐賀市をエリアに2012年に開局。日頃は地酒やサッカーJ1・サガン鳥栖の応援番組などを放送している。例年、梅雨時期に発生する雨被害時にラジオ放送の重要性を感じていた池田さんが、AIを導入した。

 同局は8月中旬の台風10号の際にもAIを活用。当時も、避難所の開設情報などを繰り返し流した。池田さんは「災害時、次々と更新される情報をパーソナリティーが1人で読み続けるのには限界がある。みんないっぱいいっぱいで、スタッフが休める時間を作れたのは大きかった」と話す。

 AIアナウンサーのシステムを開発したのは、エフエム和歌山のクロスメディア局長、山口誠二さん(37)。11年3月の東日本大震災から半年後、被災地・宮城のコミュニティーFMを視察した時に、深夜や早朝の情報発信が人手不足で困難を極めている現状を知り、「ラジオの弱点」を痛感。17年、米アマゾン子会社の文章を音声に変換して読み上げるAIを使ったサービスをラジオ向けにシステム化し、放送を始めた。

 山口さんは「災害時はインターネット上で情報が錯綜さくそうするため、正しい情報を人間が判断する必要がある。その最新情報をAIが繰り返し読み上げるという仕組みは、効果的だと思う」と話す。

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773754 0 国内 2019/09/01 18:57:00 2019/09/01 18:57:00 2019/09/01 18:57:00 AIアナウンサーに読ませる原稿を確認するスタッフ(16日午後、佐賀市で)=井上公史撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190901-OYT1I50028-T.jpg?type=thumbnail

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