現役バス運転手「上司に危ないと報告してもムダ」…#危険なバス停

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 横断歩道のそばに存在する「危険なバス停」について、各地の現役バス運転手らから読売新聞に意見が届いている。「私たちも危機感を持っています」と。そして、対策が進まないもどかしさと、バスの運転席で感じる「負い目」を取材に明かしてくれた。

 (動画のURL https://www.yomiuri.co.jp/stream/2/13249/1/)

 

 危険なバス停とは、横断歩道そばにバスが止まって交差点などに死角を作るバス停のこと。横断歩道を渡る歩行者らが停車中のバスの陰に入り、バスを追い越す車や対向車にはねられる危険がある。昨年8月には横浜市内で小学生が亡くなる事故も起きた。

 全国のバス協会などへの取材では、16都府県で計441か所に上るが、把握していないバス協会も30を超え、国が今月、全国調査に乗り出した。

     ◇

 「いつか事故が起きる。そう思いながら運転している」。仙台市営バスの男性運転手(59)は話す。男性は仙台市内の路線バスで20年以上、勤務している。

 例えば、仙台市郊外の住宅街にあるバス停「桜ヶ丘六丁目」は、信号機のない交差点の角にある。バスを止めると、車体の前部が横断歩道に載り、後ろの車から歩行者を隠してしまう。その間、後ろの車に次々と追い越される。それも、時速30~40キロに急加速して。

「桜ヶ丘六丁目」(仙台市青葉区)のバス停に停車した仙台市営バス。車体が横断歩道を塞ぎ、付近の住民からも「危ない」との声が上がっている
「桜ヶ丘六丁目」(仙台市青葉区)のバス停に停車した仙台市営バス。車体が横断歩道を塞ぎ、付近の住民からも「危ない」との声が上がっている

 男性がこのバス停で事故に遭遇したことはない。だが、横断歩道を信頼して渡る歩行者と、車のタイミングが合ってしまえば……。「車があんなスピードだと絶対に止まれない」

 横浜市では昨年8月、小学5年生の女児が、停車中のバスの後ろから道路を渡ろうとして車にはねられ、亡くなった。事故後、仙台市は市営バスの全停留所をチェックし、バスが横断歩道にかかる「危険なバス停」を5か所特定した。「桜ヶ丘六丁目」はその一つだ。

 ただ、男性は明かす。「リストにない危険なバス停はもっとある」。停車中のバスが後続車の視界から信号を隠し、バスを追い越していく何台もの車が赤信号を無視する。そんなバス停も複数あるという。

 運転手の「ヒヤリハット」体験は乗務記録に残すことになっているが、男性は報告していない。以前、危険なバス停の移設を社内で申し出たら、上司から「移設先の地権者の理解が得られない」と言われ、それっきりに。「報告してもムダ」と思ってしまう。

 男性は提言する。「現場のことは運転手が一番詳しい。危険なバス停にとどまらず、運転手からヒヤリとした体験を聞き取り、移設などの対策を講じるべきだ」

 市営バスを運営する仙台市は「国が調査をすると聞いており、現時点で新たな調査をする予定はない」としている。

     ◇

 <運転しながら、誰がこんな危険な場所にバス停を設置したのか腹が立ってしまう>。そうメールを寄せてくれた静岡県内のバスの男性運転手(60)も取材に応じた。1本のバスルートに30~35の停留所があり、そのうち危険を感じる箇所は6、7に上るという。

 数年前、運転席から人身事故を目撃した。横断歩道そばのバス停に停車していると、自転車の少年がバスの後ろから道路を渡ろうとしてバスの対向車と接触した。大事には至らなかったが、男性は「バスが死角を作ったのは間違いない。私も負い目を感じる」と話す。

 危険なバス停に止まる時は、なるべく横断歩道から離れて停車する。でも、繰り返すと近隣住民から「不便だ」とクレームが会社に届く。バスを追い越す後続車のドライバーは、スマホをいじったりパンを食べたりと、「ながら運転」も多い。男性は言う。「危険なバス停で起きる事故は、構造上の問題で、人災に近い。現場の運転手の声としてその危険性を伝えていきたい」

     ◇

 「危険なバス停」について寄せられた反響の一部を紹介する。

 「小学生らの危険性が特に高い」。そう指摘するのは、北海道大名誉教授で交通工学が専門の中辻隆さん(69)。道路の横断者は、周囲を走る車のスピードや距離間を瞬時に把握するが、脳が発達途中の子供には難しい。中辻さんは「バス停付近の道路に色を塗ったり、道路標識を設置したりして、バス停車中の車の行き来を止める対策も検討するべきだ」と話す。

 北海道滝川市の男性(51)は「記事を読んで、近所のバス停を自分で調べてみた」と言う。自転車で回り、バス停の画像付きでブログに状況をつづった。「車や歩行者は、バスの陰から相手が飛び出してくる可能性があると再認識した」と話す。

 <うちの近所も交差点の真ん中にバス停がある。バスが止まると信号が青でも車は動けず><近隣で路線バス追い越しが横行。本当に危ない!>……。ツイッターなどの投稿に「#危険なバス停」とタイトルを付け、身近なバス停の様子をSNSで拡散する人も出ている。

無断転載禁止
809182 0 国内 2019/09/23 05:00:00 2019/09/23 16:50:54 2019/09/23 16:50:54 運転手が危険と指摘する桜ヶ丘六丁目停留所ではバスの車体前部が横断歩道にかかる。朝夕は通行量も多い(10日、仙台市青葉区で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190922-OYT1I50051-T.jpg?type=thumbnail

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