1着50万円のスーツ仕立券、儀礼の範囲?

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 関西電力の役員らが福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた問題で、贈られた金品の中には、1着50万円相当のスーツ仕立券が大量に含まれていた。高級スーツの仕立券は、受け取る際の心理的なハードルが現金に比べて低いとされ、虚栄心をくすぐるアイテムとして、汚職事件の賄賂にも使われてきた。

■「儀礼の範囲」

 関電の調査報告書によると、八木誠会長ら20人が元助役・森山栄治氏(3月に死去)から約3億2000万円相当の金品を受領。このうち11人が、計75着分、総額3750万円相当のスーツ仕立券を受け取っていた。

 関電が仕立券を発行した業者に単価を聞き取ったところ、業者によって差はあったが、平均で1着50万円程度だったという。

 特に目を引くのは原子力事業本部の幹部だ。前本部長・豊松秀己元副社長が受け取った仕立券は実に20着分(総額1000万円相当)。後任の本部長を務める森中郁雄・副社長は16着、本部長代理の鈴木聡・常務執行役員も14着を受領した。

 関電は9月27日に開いた最初の記者会見で、「儀礼の範囲を除いて金品は全て返却した」と説明していたが、今月2日の会見で、75着分のうち、8割にあたる61着分は返却されていなかったことを明らかにした。岩根茂樹社長は「(スーツ券の受領は)良識の範囲を超えると整理し直した」と釈明。未返却の金品約3500万円のうち、スーツ券は9割を占める。

 八木会長自身、受け取った2着分をスーツに仕立てて着用していた。「値段がよく分からず、儀礼の範囲内だと思った」と語った。

 マナーなどに詳しい現代礼法研究所主宰の岩下宣子さんは、「ビジネスの一般的な儀礼の範囲は中元や歳暮で1万円程度が妥当。50万円はあまりにも高額で、特別なことをした対価と思われかねない」と指摘する。

■キリ箱入りの生地

 スーツの仕立券は、贈る側が予算に見合った生地を選び、代金を先払いするのが一般的だ。就職や昇進祝い、結婚の結納返しなどに活用され、高級感を出すため、キリ箱入りの生地とともに贈られることもある。

 贈答品では通常、額面は記載されず、受け取った人は後日、仕立券を発行したテーラーに足を運び、自分にフィットする一着を仕立ててもらう。

 大阪市内のある専門店は「何度かスーツを仕立てた人なら、額面がなくても、生地の品質を見れば値段は大体わかるはずだ」と断言する。

 仮に仕立券の発行価格より安い生地を使っても「差額が返金されることはない」(東京・銀座の老舗店)が、関西のあるベテランテーラーによると、「スーツを仕立てる客と店側が知り合いのようなケースでは、安価なスーツを仕立てて差額を受け取り、懐に入れてしまう客もいる」という。

 このテーラーは、「50万円の仕立券なんてめったに出ない。同じ人に20着を贈るのも不自然だ」と首をかしげる。

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