富士山頂から700m、高速で岩などに衝突し続けたか…配信中滑落

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積雪がみられる富士山(12日夕)
積雪がみられる富士山(12日夕)

 静岡県警は12日、10月30日に富士山の7合目付近(標高約3000メートル)で見つかった身元不明の遺体について、東京都新宿区西早稲田の塩原徹さん(47)と判明したと公表した。状況から十分な装備をせずに冬の富士登山を強行していたとみられる。今回のように7~9月の開山期以外に登って遭難するケースは後を絶たず、県や県警は安易な入山を控えるよう呼びかけている。

 御殿場署などによると、塩原さんは、10月28日午後、自らが富士登山する様子を動画撮影し、インターネットに生配信していた際に、滑落したものとみられる。その時とみられる動画では、男性が実況中継をしながら雪山をゆっくりと歩き、「滑る」と叫んだ瞬間に滑落する様子が映っていた。

 ネット上はすぐに騒然となり、静岡、山梨両県警に通報があった。県警の山岳遭難救助隊は2日後に雪に埋もれた状態の遺体を発見した。身元を特定できる所持品がないほか、遺体の損傷が激しかったこともあり、身元の割り出しに時間がかかったという。

 塩原さんの遺体は、衣服もぼろぼろの状態だった。山頂付近から700メートルにわたって高速で滑落し、岩などに体を衝突させ続けたとみられる。署の幹部は「冬の富士登山ができるような装備ではなく、軽装だったようだ」としている。

 県警地域課によると、富士山静岡県側での閉山期の山岳遭難の件数は、2013年以降、9~19件で推移し、1~6人が死亡している。今年も10月31日現在で、今回の遭難を含めて7件発生している。13年1月には登山経験のない若い女性2人が、普段着にスニーカーで富士山に入った。体調不良で自力下山ができなくなり、山岳遭難救助隊が救助した。

 県警などは、閉山期の登山を控えるよう呼びかけているものの、「自己責任」の登山が黙認されているのが現状だ。世界文化遺産として13年に登録されたことを機に、観光スポットとしての人気も高まっており、外国人の入山も多い。このため県などは、冬場の登山の危険性を周知するパンフレットなどを配布している。

 閉山期に登る理由は、海外の山々に挑む登山家の訓練や、周囲に人がいない富士山を楽しむことなど様々だ。富士宮市小泉の登山用品店「ATC Store」の芦川雅哉店長(48)は、「SNSなどで(冬季の)富士登山の様子を目にする機会が多くなった」と指摘する。そのうえで、「十分な装備をしていたとしても、滑落してしまえば遮る木もなく、止まることがない。夏と違って周囲に助けてくれる人もいない」と危険性を訴えた。

 県警山岳遭難救助隊の坂上雅信副隊長は、「冬の富士山は特に風が強く、経験者でも非常に危険だ。夏と冬の富士山は完全に別物で、閉山期の登山は自粛してほしい」と呼びかけている。

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896353 0 国内 2019/11/13 09:47:00 2019/11/13 09:47:00 2019/11/13 09:47:00 富士山(午後5時11分)=新妻千秋撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/11/20191113-OYT1I50027-T.jpg?type=thumbnail

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