廃墟マンション解体、全国初の行政代執行…費用1億円の回収めどたたず

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行政代執行で解体が始まったマンション(25日午前、滋賀県野洲市で)=長沖真未撮影
行政代執行で解体が始まったマンション(25日午前、滋賀県野洲市で)=長沖真未撮影

 滋賀県野洲やす市は25日、市内の築48年の分譲マンションについて、空家対策特別措置法に基づき、行政代執行で解体工事を始めた。同法に基づく分譲マンションの解体は全国初とみられる。壁が崩落するなど「廃虚化」が進んでいたが、区分所有者の一部と連絡が取れず、費用約1億円の回収のめどはたっていない。

 解体工事は午前10時に始まり、作業員が屋上の高架水槽をクレーンでつり下ろした。3月末まで行われる。

 市などによると、マンションは1972年建築の3階建てで、9部屋あるが、住人は十数年前にいなくなった。管理組合がなく、修繕費用も積み立てられていないため、壁や階段が崩れるなど老朽化が進んでいた。

 市は2018年9月、周囲に迷惑を及ぼす「特定空き家」に指定。19年6月までに区分所有者に解体命令を出したが、実施されなかった。集合住宅の解体は区分所有者全員の合意が必要だが、うち4部屋の所有者は書面を送っても反応がなかったという。

 市は自主解体は絶望的と判断し、行政代執行に踏み切ったが、有害アスベストの除去作業が必要になり、費用は当初見込みの最大6000万円より多い約1億円に膨らんだ。

 取材に応じた区分所有者の男性(76)は「費用は分割してでも支払いたい」と話しているが、他の所有者が支払うかは不明という。市は、財産差し押さえも検討しているが、全額の回収見込みは立っていない。

     ◇

 国土交通省の調査では、築40年超の分譲マンションは18年末時点で全国に約81万戸あり、全体の約1割を占める。20年後には4・5倍の約367万戸に膨らむと推計されている。

 マンションは定期的に修繕しなければ老朽化が急速に進むが、修繕積立金が不足しているマンションは34・8%にのぼる。

 管理不全に陥るのを未然に防ごうと、一部自治体で管理状況を届け出させる制度が導入され、国交省も、自治体の支援策を検討している。

 ◆空家対策特別措置法=危険な空き家をなくし、地域の安全を守る目的で2015年に施行された。倒壊などの恐れがある空き家を市区町村が「特定空き家」に指定し、所有者に改善を指導、勧告、命令。従わない場合などは行政代執行で撤去できる。国土交通省によると、同法に基づく行政代執行は18年度までに41件。

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1019185 0 国内 2020/01/25 13:11:00 2020/01/26 13:34:58 2020/01/26 13:34:58 大津市の強制代執行で解体が始まった「美和コーポB棟」(25日午前10時8分、滋賀県野洲市で)=長沖真未撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200125-OYT1I50031-T.jpg?type=thumbnail

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