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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京都内を中心にタクシー事業を展開する「ロイヤルリムジン」グループが従業員の大量解雇を決めた問題で、70歳代の男性運転手が15日、解雇を無効として、勤務先のグループ会社を相手取り、従業員としての地位確認などを求める仮処分を東京地裁に申し立てた。
男性の代理人を務める
馬奈木弁護士によると、男性は10日に勤務先から「感染リスクを抱えながら安い給料で働くより、失業給付を受け取った方が有利だ」などと言われ、退職合意書に署名させられたという。男性側は「会社は雇用継続の努力をせず、一方的に解雇した」と主張しており、解雇の無効と賃金の支払いを求めている。
16日に都内で記者会見した男性は「従業員のことを一切考えないひどいやり方だ」と憤り、馬奈木弁護士は「解雇はあらゆる努力を払った後の最後の手段でなければならない。こうしたやり方がまかり通れば、極めて悪質な先例になる」と述べた。同グループを巡っては、他の複数の従業員にも仮処分を申し立てる動きがある。
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厚生労働省は16日、再雇用を前提にして従業員を解雇した場合の雇用保険の失業給付について、「再雇用の予定があり、求職活動をしていない人は支給対象にはならない」との考え方を示した。参院厚労委員会で明らかにした。
感染拡大で企業の業績が悪化する中、再雇用を前提とした解雇に踏み切るケースが問題になっている。関係者によると、「ロイヤルリムジン」グループも、従業員に再雇用を目指す考えを示した上で大量解雇する方針を伝えていた。
雇用保険法上、失業給付を受け取るには求職活動が必要。いずれ再雇用されるのに求職活動を装って受給した場合は不正受給となる。