岩手県沿岸部を走る三陸鉄道リアス線の新駅「新田老駅」(宮古市)が18日、開業した。東日本大震災の津波で被災した周辺地域には災害公営住宅や道の駅などができており、新駅は復興後の新たな街づくりの拠点として期待されている。
新田老駅開業セレモニーで披露されたヘッドマーク(18日午前、岩手県宮古市で)=武藤要撮影 新田老駅は田老―摂待駅間に、リアス線41番目の駅として誕生。スロープやエレベーターを備えたバリアフリー構造になっている。災害公営住宅などの建設に伴い、地域で暮らす住民が増えたため、市田老総合事務所の新庁舎とともに整備が進められてきた。駅のホームは、同じくこの日に業務を開始した新庁舎の3階と連絡通路でつながっている。
ホームでの記念式典では、駅銘板の除幕やテープカットが行われた。新田老発宮古行きの記念列車には、新駅の愛称である「真崎の紺青」などと書かれたヘッドマークが取り付けられ、地域住民らが小旗を振って見送った。三陸鉄道の中村一郎社長は「新型コロナウイルスで県外からの乗客は減っているが、収束すれば徐々に戻ってきてくれると思う。多くの人に訪れてほしい」と話していた。
三陸鉄道リアス線は震災後、JR東日本から旧山田線(宮古―釜石駅間)が移管されたことで国内最長の第3セクター路線となり、昨年3月、8年ぶりに再出発した。昨年10月の台風19号では、線路に土砂が流入するなどして、全線の7割が不通になる被害に再び見舞われたが、今年3月20日に全線で運行を再開した。