避難所のコロナ対策、段ボール間仕切りを開発…飛沫防止とプライバシー考慮
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新型コロナウイルスの第2波が懸念される中、災害時に開設される避難所の感染防止に役立てようと、大阪府八尾市の段ボール製造会社「Jパックス」が避難所用パーティション(間仕切り)を開発した。多くの住民が身を寄せる避難所は、集団感染のリスクが指摘されている。大雨や台風など水害シーズンが迫っており、水谷嘉浩社長は「知恵を出して避難所の環境を整えよう」と呼びかける。(南恭士)

今月20日、八尾市の市立南木の本防災体育館で、避難所の設営を想定したデモンストレーションが行われた。使用したのは、段ボールベッドと、Jパックスと段ボール製造会社「セッツカートン」(兵庫県伊丹市)が共同開発した段ボール製の間仕切り。市職員らが高さ1・45メートル、幅0・65メートルの間仕切りを次々とつなぎ合わせ、避難者用のスペースを作成していった。
新型コロナ対策として、1人用の広さは約2メートル×約2メートルと、感染防止のために距離を取る「ソーシャル・ディスタンス」を確保。2人用は約4メートル×約2メートルで、約2時間で16人分のスペースを設けた。設営にはテープや工具は不要で、参加した八尾市の宮田哲志・危機管理監は「組み立てに難しさはなく、数人が取り組めば迅速に設営できるのでは」と感想を述べた。
製品開発でこだわったのは、間仕切りの高さを従来よりも高い1・45メートルに設定したことだ。プライバシーを確保し、せきやくしゃみの
「避難所・避難生活学会」理事も務める水谷社長は、東日本大震災時に避難所で高齢者が低体温症で死亡したことを知り、段ボールベッドを考案した。その後も、避難所生活での健康被害を防ごうと避難所の環境整備に注力。今回は感染を防止するため、床から一定の高さを保てるベッドと飛沫を防ぐ間仕切りの使用を提唱している。
「災害関連死ゼロ」を目指す水谷社長は「新型コロナをきっかけに避難所の課題を再点検してほしい」と語る。