すごい・さすが・惜しい…ほめちぎる教習所、せっかちな女性記者が体験講習

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

ペーパードライバー講習を受講し、八田さん(左)から車庫入れの指導を受ける西沢記者(三重県伊勢市で)=中根新太郎撮影
ペーパードライバー講習を受講し、八田さん(左)から車庫入れの指導を受ける西沢記者(三重県伊勢市で)=中根新太郎撮影

 地方支局でニュースを追う記者にとって、移動手段の乗用車は欠かせませんが、三重県の津支局へ5月に赴任した新人の西沢由華記者(22)はペーパードライバー。マイカーで出動する日を前に、運転技術を確認することにしました。その名も「ほめちぎる教習所」で。

 免許を取ったのは大学1年の時。電車通学で、車で出かける際も親や友達が運転してくれたので、数えるほどしかハンドルを握っていません。

 運転の勘を取り戻さなくては……。インターネットで探し、目に留まったのが三重県伊勢市の南部自動車学校でした。ほめて生徒の意欲を引き出す指導法で知られているそうです。「ペーパードライバー」向けもあるそうで、講習(50分)2回分をお願いしました。

 指導していただいたのは、教官歴20年の八田宜彦さん(42)です。

 まずは構内のコースを走ります。最初の難関・S字カーブで「ガクン」。いきなり左後輪を脱輪させてしまいました。恐る恐る助手席の八田さんの表情をのぞくと、うなずき、「ブレーキ踏めたね!」。ミスを注意するのではなく、すぐ止まったことを評価してくれたのです。

 八田さんはドアを開け、「左側へ寄りすぎたね」と原因を教えてくれました。道路幅を意識して運転し、無事にカーブを抜けると、「よくできた」とほめてくれました。

 一般道では車線変更に挑戦です。タイミングが分からずあたふた……。後ろから来る車を何台も見送ります。八田さんは「いつでも大丈夫ですよ」。気持ちが楽になりました。落ち着いて車線変更すると、「よくできました」と笑顔。

 ただ、八田さんは問題点を見抜いていました。左折やバックの際、十分に減速しない癖です。せっかちな性格が運転にも出ているのでしょうか。「焦らず、落ち着いて運転すれば大丈夫! 頑張って」

ペーパードライバー講習を受けた西沢記者
ペーパードライバー講習を受けた西沢記者

 4年前に通った教習所は、時に厳しい口調で指導されましたが、今回は萎縮いしゅくせずに運転できた気がします。

 なぜ「ほめちぎる」のでしょうか。独自の指導法を打ち出したのは7年前。少子化で生徒数が減った上、若者の車離れの影響で、就職用に免許を取るという生徒らの学ぶ意欲が低下していました。加藤光一社長(57)は「意欲を持ってもらえるよう、『ほめて伸ばす』へ転換しました」と当時を振り返ります。

 社員同士がほめ合う実習を重ね、以前と比べての「今日はできたね」など4種類の「比較ぼめ」や、「3S+O」(すごい、さすが、素晴らしい、惜しい)などを考案しました。

 当初は「優しく教えて事故が増えないか」との声も出ましたが、卒業後1年以内の事故率(普通車)は2012年の1・76%から18年は0・43%に減少。入校者は年々増え、職場の雰囲気も明るくなったそうです。

 「ほめちぎる」のベースには、相手の長所を見つけ、評価する精神がある。運転以外にも通じる考えでしょう。社会人になり、ほめられることばかりではありませんが、講習で教えられ、学んだように、焦らず一歩一歩、仕事も覚えていけたらなと思います。

ポイント<運転に自信がない人へ>

▽一時停止や右左折の際、ミラーだけでなく、目視でも確認する
▽駐車する時は後方を十分確認する
▽なじみのない場所で運転する際は一方通行などの標識を意識する
▽初心が大事。運転に慣れると、謙虚さがなくなる。「自分は運転がうまいわけではない」と思って

ほめる指導 全国に

 「ほめちぎる教習所」は各地に広がっています。

 南部自動車学校には、全国の教習所から指南を受けたいとの要望があります。「ほめちぎる」を看板に使いたいとの申し出もあり、同校社員の講習を一定期間受けてもらうなど、一定条件の下で認めています。これまでに広島、山口県などの5校を認定したそうです。

 2017年に認定を受けた岐阜県関市の「関自動車学校」は、学校正面に「ほめちぎる教習所」と掲げています。生徒数の減少が課題でしたが、現在では回復し、事故率も低下したそうです。経営企画室の川野養二さん(51)は「教習所に通うのは一生に一度。楽しんで学んでほしい」と話していました。

 南部自動車学校には、ホテル、鉄道会社など異業種からの視察も相次いでいます。ほめる指導は業種の枠を超え、さらに広がりそうです。

無断転載・複製を禁じます
1290801 0 社会 2020/06/21 12:07:00 2020/06/21 12:25:26 2020/06/21 12:25:26 「記者がやってみた」「ほめちぎる教習所」でペーパードライバー講習を受講し、八田宣彦さん(左)から車庫入れの指導を受ける津支局の西澤由華記者(27日、三重県伊勢市で)=中根新太郎撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/06/20200621-OYT1I50038-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

一緒に読もう新聞コンクール

新着クーポン

NEW
参考画像
ランチでご来店のお客様にジェラートをサービス
NEW
参考画像
600円300円
NEW
参考画像
アクティビティご利用でソフトドリンク1本サービス
NEW
参考画像
ご宿泊のお客様の夕食時に地酒(お銚子)またはソフトドリンク1本サービス

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ