ニュース

九州豪雨、ラフティング技術で人命救助も…ゴムボートを2艇重ねスコップをオール代わりに

無断転載・複製を禁じます
被災した店舗で泥にまみれた工具箱を洗う迫田さん(21日午前、熊本県球磨村渡で)=中嶋基樹撮影

 九州豪雨では、熊本県を流れる球磨川を拠点とするラフティング業者が、家屋に取り残された住民を救助した。事務所が壊れ、ボートも流されるなど深刻な被害を受けた業者もあるが、「球磨川は激しい流れだけではなく、緩やかな表情も見せてくれる。ラフティングは必ず再開させる」と前に踏み出す。(那須大暉)

ゴムボートを使った救助の様子(ランドアース提供)

 同県球磨村渡のラフティング会社「ランドアース」で21日午前、社長の迫田重光さん(53)が泥で汚れた工具箱を洗っていた。2階建ての事務所は浸水し、24艇あったボートも大半が流された。敷地にはぬかるみが残り、すぐそばを流れる球磨川は茶色く濁っていた。

 4日朝、事務所から近くの高台に避難した迫田さんは、民家の屋根に多くの人が取り残されている光景を見た。近くには、空気が抜けかかったゴムボート2艇が漂着していた。「これがあれば救助できる」。浮力を保つため2艇を重ね、スコップをオール代わりにこぎ出した。

 水面から突き出た電柱にロープをまき付け、救助後はロープをたぐって岸に戻った。泥水をこぐ手は重く、流れが激しい場所もあったが、ラフティングで培った技術で乗り切った。4、5往復し、約20人を救った。

 14人が死亡した球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」にも向かった。ボートで近づき、窓ガラスを割って入ろうとしたが進めない。スタッフの一人が泳いで自動ドアをこじ開け、板に乗っていた高齢女性ら2人を救い出した。

 同県人吉市でも、ラフティング会社の経営者が、冠水した市街地をボートで回り、取り残された住民ら約50人を救助した。

 ■ラフティング

 ゴムボートで急流を下るスポーツ。日本では大学の探検部の活動から広がり、1990年代にレジャーとして人気に。2017年には四国の吉野川で世界選手権が開催された。

社会
ページTOP