遺族会、「時代の波に逆らえず」解散相次ぐ…高齢化で会員減少・資金集め困難

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戦没者を慰霊する石碑の前で思いを語る堺市遺族会の池中会長(右)と西田さん(4日、堺市堺区で)=大石健登撮影
戦没者を慰霊する石碑の前で思いを語る堺市遺族会の池中会長(右)と西田さん(4日、堺市堺区で)=大石健登撮影

 終戦から75年となり、戦没者を慰霊してきた遺族会の解散が相次いでいる。遺族の高齢化で会員が減り、活動の継続や資金集めが難しくなっているためだ。

 「時代の波に逆らえなかった」。65年間の活動を7月末に終えた新潟県佐渡市の両津遺族会の会員だった木本勇さん(75)は、ため息をついた。同会は1955年に発足。当初約560人いた会員は解散直前に200人を下回り、全員75歳以上となった。

 例年8月下旬には、約30年前に同会が建てた慰霊塔の周辺で慰霊祭を行うが、昨夏の参列者は約60人まで減少。慰霊祭などを含む年間運営費約30万円は、市の補助金や年1000円の会費でまかなってきたものの、財政難が続いていた。

 解散後、木本さんら元会員有志5人は、定期的に慰霊塔に花を手向けることにした。木本さんは「戦争の記憶を風化させてはいけない。何とか活動していきたい」と語った。

 戦没者遺族の全国組織・日本遺族会によると、支部にあたる47都道府県の遺族会の会員数は78年の計104万世帯から2019年には57万世帯に減少。都道府県の遺族会に属さない遺族会もあり、解散数は不明という。読売新聞の取材では、市町村や地区単位で解散の動きが出ている。

 堺市遺族会は今年度末で解散する。1947年、堺市の戦没者約6400人を慰霊するために結成された。毎年、追悼式を開催してきたが、2年前に実施した会員(約3700世帯)アンケートでは、高齢などを理由に「活動に協力できない」との回答が大半を占め、今年4月、解散を決めた。市遺族会長の池中義徳さん(78)は「平和の尊さを発信する機会を失うのは、痛恨の極み」と嘆いた。

 会員の一人、西田幸次郎さん(86)は45年、潜水母艦の乗組員だった兄(当時22歳)を亡くした。西田さんは「遺族会が毎年8月に集まることで『戦争はしない』というメッセージを発信できていたのに……。兄ちゃんに申し訳ない」と無念さをにじませた。

 鳥取県倉吉市の市遺族連合会も今年度末の解散を決定。会員は126人と、ピーク時の50~60年代の約6分の1に減り、山田紀美子会長(82)は「病気や寝たきりの会員も増え、存続は限界を迎えていた」と明かす。

 1000人以上の犠牲者が出た1945年7月の青森空襲の遺族でつくる青森市戦災者遺族会は今年3月で解散。92年に80人で結成したが、会員が入院するなどして3人ほどしか活動できなくなっていたという。

 元会長の大坂昭さん(76)は「解散は残念だが仕方のないことだ。悲惨な記憶を後世に残すため、戦争を思い出す行事の充実などが今後必要だ」と話した。

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