台風避難、頑丈なホテルに予約殺到…コロナ禍「金をかけても個室で」

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 九州で一時、約20万人が避難所に身を寄せた台風10号では、新型コロナウイルスへの懸念もあり、頑丈なホテルなどに分散避難する人が相次いだ。自治体も避難所としてホテルの活用を進めており、災害時の協定を結ぶ動きが広がっている。

 「これまで避難で旅館を利用する客はいなかったので、驚いた」。8日、佐賀県武雄市の旅館「湯元荘東洋館」の江口敬子たかこ社長(55)は振り返った。

 台風の最接近を前に「1人で過ごすのは不安」と予約の電話が殺到。4日午前中には全23室が予約で埋まった。旅館は鉄筋コンクリート造り4階建てで、風に強い。コロナ禍の中、「金をかけても、個室で過ごしたい」との声もあった。江口社長は「市内は昨年8月の記録的大雨でも浸水被害に遭った人が多く、意識が高まったのでは」と話した。

 鹿児島県喜界島の喜界第一ホテルも5日、全27室が満室となった。喜界町によると、「台風慣れ」した島民も「経験したことのない台風」との報道を受け、避難が激増した。スタッフは「『ホテルだと安心』と言ってくれた」と語る。

 九州経済調査協会(福岡市)は、宿泊施設の空室情報などのデータを独自に分析した結果、台風10号が接近中の今月6日、九州・山口のほぼ全県で「宿泊施設の空室が過去1年間で最も少なかった」とみている。

 国は新型コロナへの感染防止のため、自治体に分散避難でのホテルなどの活用を求めてきた。

 広島県大崎上島町はコロナ禍での災害を想定し、6月に町内のホテルと協定を結んだ。指定避難所が定員を超えた場合に活用し、費用は町が負担する。町の担当者は「ホテルの活用が避難の一つのあり方になるのではないか」と話す。

 福岡県は7月、災害時にホテルなどを活用する協定の締結を促すため、宿泊施設の一覧を市町村に配った。県の担当者は「建物が頑丈な上、個室なので感染症対策も取りやすい」と説明する。同県朝倉市は8月、高齢や持病などで配慮が必要な人を対象に、ホテルの空き部屋を提供してもらう協定を地元の組合と結んだ。

 東京大の片田敏孝・特任教授(災害社会工学)は「避難に対する住民の意識に変化が起きつつある。台風10号では一部の避難所で人が入り切れなかった。分散避難をさらに進めるためにも、行政はホテルの活用をしっかり検討する必要がある」と指摘する。

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