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新型コロナウイルスの影響で、秋祭りやイベント中止が相次ぎ、露店でおなじみの金魚すくいができなくなって久しい。そこで、金魚の産地・熊本県長洲町は、苦境にあえぐ養魚業者の支援に乗り出した。

「55年やってきて、こんなに売れないのは初めてだ」。18歳から金魚の養魚に携わっているという長洲町養魚組合長の松井一也さん(73)は嘆いた。
すくい用の金魚は、4月初旬に産卵を始め、7~10月が出荷の最盛期だ。町によると、昨年は63万匹を生産し、うち約9割が金魚すくい用に出荷された。ところが、今年は、感染拡大の影響で夏祭りやイベントのキャンセルが相次ぎ、町内の品評会も軒並み中止となった。金魚すくい用の出荷量は例年の1割以下という。
出荷されない金魚は、養魚場で育てられているが、一つの池で育てる際は数や餌の量、水質変化に気を配らなければならない。飼育に困り、市場に安く卸す業者もいる。「新型コロナが長引けば、廃業する業者も出かねない」と松井さんは危惧している。
そこで、町は支援に乗り出している。500万円を投じて養魚組合から金魚を買い上げ、観賞や園内の祭り用に、県内の保育園などに無料配布した。また、養魚業者の設備投資や事業継続に向けた助成事業費2000万円を確保している。町の担当者は「伝統の火を消さないようにしたい」としている。