世界最高齢アカゲザル「イソコ」、長寿の秘訣はそつなく生きてきたから?

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口をもぐもぐさせながら餌を食べるイソコ(17日、京都市左京区で)=土屋功撮影
口をもぐもぐさせながら餌を食べるイソコ(17日、京都市左京区で)=土屋功撮影

 よいしょ、よいしょ――。そんな声が聞こえてきそうなゆっくりとした足取りで、腰の曲がったイソコが歩く姿がガラス越しに見える。京都市動物園(左京区)で暮らす世界最高齢の雌のアカゲザルだ。おばあちゃんのイソコは、バリアフリー化された「老猿ホーム」で、悠々自適の余生を送っている。21日は敬老の日。(梨木美花)

 イソコは、1978年に京都市動物園で生まれた。飼育下でも平均寿命は30歳ほどとされる中、今年4月に42歳になり、飼育されている存命の最高齢アカゲザルとしてギネス世界記録に認定された。

 普段はもっぱら、木材の隙間や屋外でまどろんでいる。食事の時には、小刻みに震えながら、サツマイモやリンゴを頬張る。白菜も好物だ。ブドウは誤って気管に入らないように小さく切って提供されている。

 イソコは、類人猿舎の一室を改造して2016年に開設した「老猿ホーム」で、妹を含む他の高齢の2匹と共同生活する。毛が少なくなり体温調節が難しいため、室内では冷暖房が完備だ。

 木材を部屋全体にスロープのように巡らして歩きやすくした。万が一、木材から足を滑らした場合、地面に落ちてけがをしにくいように、クッション代わりのワラが敷かれている。

 長寿の秘訣ひけつを、飼育員の板東はるなさん(32)は「そつなく生きてきたからではないか」と話す。

 群れで暮らす習性があるサルの世界には序列があるが、イソコは高みを目指すことをしなかったようだ。けんかには率先して加わらない穏健派で、強いサルの毛繕いをするなどコミュニケーションを続けてきた。それでも、Z形に折れ曲がった尻尾が争いに巻き込まれた過去を想像させる。

 8月、「老猿ホーム」とつながる屋外で熱中症になったが、獣医師の治療を受けて数日で回復した。今のところ、健康面で重大な懸念はなく元気に過ごしている。

 大阪大学大学院人間科学研究科の中道正之教授(動物園行動学)は「人間と同様にサルも老いる。老眼になったり、歯が抜けたりする。それでも社会の中で暮らすイソコたちの様子をじっくり観察し、老いるということを考えるきっかけにしてほしい」と話す。

 ◆アカゲザル=野生ではインド北部や中国などに生息する。ニホンザルと似ているが、尻尾が長いのが特徴で、雌が主体の母系社会で群れを作って暮らす。京都市動物園は1970年に飼育を始め、最盛期は100匹近くいた。しかし、飼育している動物園が少なく、雄の入れ替えが難しいことや、飼育スペースが十分に確保できなかったことなどから、現在いる15匹を最後に飼育をやめる。

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1492147 0 社会 2020/09/21 11:39:00 2020/09/21 18:34:21 2020/09/21 18:34:21 老猿ホームで暮らすイソコ(17日午後、京都市左京区で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/09/20200920-OYT1I50056-T.jpg?type=thumbnail

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