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自転車保険の義務化進む、37自治体が条例制定…コロナ禍で加入急増か

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自転車保険の加入義務化を知らせるポスターを貼っている自転車販売店(福岡市城南区で)=貞末ヒトミ撮影
自転車保険の加入義務化を知らせるポスターを貼っている自転車販売店(福岡市城南区で)=貞末ヒトミ撮影

 自転車利用者に損害賠償保険への加入を義務づける動きが加速している。これまでに67の都道府県・政令市のうち、37自治体が加入を「義務」または「努力義務」とする条例を制定。損保各社の4月以降の加入者数は多いところで前年同期比3~4倍になった。新型コロナウイルス感染拡大で自転車が見直されていることも背景にあるとみられる。「新しい生活様式」の下で利用者増が見込まれる中、新たなルールづくりも求められている。

 福岡県は10月から保険加入を義務化する。自転車による人身事故を巡り、高額の賠償事例が相次いだことを受け、2017年に「努力義務」とする条例を施行したが、加入率は50%未満にとどまったためだ。啓発ポスターを自転車販売店などに配布しており、県生活安全課の担当者は「改正前と同様に罰則はないが、より加入を促しやすくなる」と狙いを語る。

 国土交通省の4月1日現在のまとめや読売新聞の調べでは、加入を「義務」「努力義務」とする条例を制定したのは、義務化の先駆けとなった兵庫県(2015年制定)をはじめ、大阪府や鹿児島県など27都道府県と、さいたま市や北九州市など10政令市。大分県や宮崎県、岡山市なども制定準備を進めている。同省も昨年2月に条例のひな型を作り、後押ししている。

 また、福岡県のほか愛媛県、静岡市、福岡市が条例の規定を「努力義務」から「義務」に格上げした。群馬県や千葉市も義務に強化する方針だ。

 こうした動きに合わせ、保険加入件数も伸びている。業界大手の東京海上日動火災保険によると、東京都が保険加入を義務づける条例を施行した4月から加入者が急増。8月までの5か月間に、都内の新規加入件数が前年同期比約7倍になり、全国平均も同約3倍に上った。

 au損害保険は、4~5月が前年同期比約4倍。損害保険ジャパンでも、4月の自転車保険加入件数が1月の10倍となった。7月も3・7倍と好調だ。

 同社の担当者は「自治体の条例制定に加え、新型コロナの影響で自転車通勤にする人が増えていることが要因ではないか」と分析する。

 政府は18年に自転車の活用推進計画を閣議決定。新型コロナの感染拡大後は、自転車通勤を積極的に導入する企業・団体を認定するなど、「新しい生活様式」を踏まえて一層の利用促進に取り組んでいる。

歩行者との事故減らず

 一方で、課題もある。警察庁によると、自転車が関係する事故の件数は、09年の15万6488件から昨年は8万473件に減ったが、主に減ったのは車や二輪車との事故で、歩行者との事故は2200~2900件台と横ばいが続いている。

 警視庁によると、東京都内で3~7月に自転車の交通違反で摘発した件数は前年同期の1・5倍にあたる1300件超に上った。信号無視が多かったという。コロナ禍で食事の宅配需要が高まり、東京では宅配代行サービスの配達員の自転車が歩行者に衝突してけがを負わせる事故も発生している。

 九州大の志堂寺和則教授(交通心理学)は「国や自治体が、自転車レーンの整備など安全な走行スペースの確保を進めることが重要。そのほか、ヘルメットの着用などを含めて利用者への啓発や教育に力を入れるなど、ハード・ソフト両面で事故防止の施策を強化する必要がある」と指摘する。

数百~1000円前後…損保の月額料金

 複数の損保会社によると、保険料は月数百円~1000円前後、賠償金額は1億~3億円程度のものが多い。専門の整備士が整備・点検した自転車につけられる「TSマーク付帯保険」や、自動車や火災保険の特約でカバーできる場合もある。自転車安全対策協議会(大阪市)が交通安全協会などと協力して住民向けの保険を設けるケースもあり、大阪府や福岡県など5府県と1市で設けられている。

(饒波あゆみ、香月大輝)

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1498527 0 社会 2020/09/24 16:07:00 2020/09/24 20:43:18 2020/09/24 20:43:18 自転車保険に関する県のポスターや保険のチラシを配布している自転車販売店(2日、福岡市城南区の「自転車のいいとも」で)=貞末ヒトミ撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/09/20200924-OYT1I50028-T.jpg?type=thumbnail

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