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太平洋戦争で真珠湾攻撃を命じる暗号文「ニイタカヤマノボレ」を送信したとされる佐世保市針尾中町の国指定重要文化財「旧佐世保無線電信所」(針尾送信所)で11日から、初めて電信室の一般公開が始まった。10日には補修工事を終えた内部が報道陣に公開された。

市教委によると、針尾送信所は旧日本海軍が1922年(大正11年)に建設し、長波無線通信施設としては国内に唯一、建造物が現存している。300メートル間隔で正三角形に配置された鉄筋コンクリート造りの無線塔3基(高さ各約136メートル)と、信号を制御する同2階建ての電信室などで構成され、2013年に国の重文指定を受けた。

市はこれまで、地元住民らの協力を得て無線塔の内部を観光客に公開するなどしていたが、電信室は入り口の通路が一部崩落しており、建物の外側からの見学に制限していた。「内部を見せてほしい」との要望が相次いだことから安全確保のための補修に取りかかり、今夏、工事を終えた。
公開されるのは、いずれも1階にある変電施設の「整流器室」、油などを保管する倉庫、機械室の3部屋。床が劣化している2階などには立ち入れないが、高窓から日が差し込む機械室では、当時から残る運搬用クレーンや発電設備などを見ることができる。
見学は、午前9時から午後4時(受け付けは午後3時半)まで。無料。地元住民らでつくる「針尾無線塔保存会」の田平清男会長(78)は「長年の願いがかないうれしい。平和教育に役立てるため、特に次代を担う子どもたちに足を運んでほしい」と話した。