賞与・退職金の非正規格差「不合理とまではいえない」…最高裁「正規労働者、難易度高く異動ある」

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大阪医科大訴訟の最高裁判決について記者会見する原告の女性(右端)(13日午後、東京都千代田区で)=西孝高撮影
大阪医科大訴訟の最高裁判決について記者会見する原告の女性(右端)(13日午後、東京都千代田区で)=西孝高撮影

 正規の労働者と非正規雇用の労働者との間で、賞与や退職金に格差を設けることの是非が争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は13日、「正規労働者の方が、業務の難易度が高く人事異動もあり、格差は不合理とまではいえない」として、一部の支払いを命じた2審判決を変更し、原告側の請求を退けた。

 問題となったのは、〈1〉大阪医科大(現大阪医科薬科大)の元アルバイト職員への賞与〈2〉東京メトロ子会社の「メトロコマース」元契約社員2人に対する退職金。原告側は、同じ仕事をしているのに、正規労働者と差があるのは不当だとして、差額分の支払いを求めた。

 旧労働契約法20条(現パート・有期労働法8条)は、非正規への「不合理な待遇格差」を禁止。最高裁は2018年6月、通勤手当などを巡る訴訟の判決で「不合理かどうかは、支払い項目の趣旨を個別に考慮する」とし、賞与や退職金に関する判断が注目されていた。

 この日の判決は、18年判決を基に、正規と非正規の労働条件を比較検討した。 このうち、大学の元アルバイト職員の業務内容は、教授らのスケジュール管理や電話や来客対応など易しいもので、人事上の配置転換もなかったと指摘。これに対し、正規職員には、英文学術誌の編集事務や病理解剖に関する遺族への対応などもあり、人事異動の可能性があるとして、処遇に違いがあったと判断した。

 その上で、賞与は、正規職員としての職務を遂行しうる人材を確保する目的で支給されるもので、正規職員に登用される制度があることも踏まえ、「賞与の格差が不合理とまではいえない」と判断した。

 また、メトロ子会社の元契約社員2人が求めていた退職金についても、契約社員が売店業務に専従し配置転換もないのに対し、正社員は、複数の売店を統括しトラブル処理などにも当たり、配置転換の可能性があることなどから、格差はやむを得ないと結論づけた。

 ただ、同小法廷は、旧労働契約法20条の趣旨を踏まえ、賞与や退職金の格差が不合理と認定されるケースがあり得るとも言及した。

 大学の元アルバイト職員の訴訟(宮崎裕子裁判長)は裁判官5人の全員一致。一方、元契約社員が起こした訴訟(林景一裁判長)では、宇賀克也裁判官が「業務内容に大きな差はなく、格差は不合理だ」と反対意見を述べた。両訴訟とも、2審判決では、住宅手当や夏季休暇などの格差を「不合理で違法」としており、確定した。

 判決後、原告らが東京・霞が関で記者会見。メトロコマースの契約社員だった疋田節子さん(70)は「『ご苦労様』というお金さえ認められなかった」と語り、大阪医科大のアルバイト職員だった50歳代の女性も、「少しでも格差をなくそうと進んできた中で、裁判所はなぜブレーキをかけるような判断を出すのか」と残念そうに話した。

最高裁判決のポイント

▽賞与や退職金の「格差」が不合理かどうかは、支給の趣旨や目的、職務の難易度や責任の重さ、配置転換の可能性などを考慮して検討すべきだ

▽今回の非正規職員は仕事が簡易で、配置転換もなく、正規職員との職務内容などに一定の違いがある。賞与や退職金を支給しなくても、不合理とまではいえない

▽賞与や退職金の「格差」が不合理と認定されることもあり得る

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1545418 0 社会 2020/10/13 21:32:00 2020/10/14 03:22:26 2020/10/14 03:22:26 大阪医科大の待遇格差を巡る訴訟の最高裁判決について記者会見する原告女性(手前)(13日午後4時23分、東京都千代田区で)=西孝高撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201014-OYT1I50033-T.jpg?type=thumbnail

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