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19日午後4時40分頃、香川県坂出市の与島沖の瀬戸内海を航行中の小型船「Shrimp of Art」(19トン)の船長から、「漂流物に衝突して船が浸水している」と118番があった。高松海上保安部によると、修学旅行中の小学6年生52人を含む計62人が乗船しており、間もなく沈没。全員が救助されたが、低体温症とみられる症状などがあった児童2人とバスガイドの計3人が、病院に搬送された。

坂出市立川津小学校の児童と教員5人、ガイドらが乗船。同市教育委員会などによると、船体は衝突後、浸水が始まり、船長の指示で児童らは救命胴衣を身に着けて次々と海に飛び込んだという。いずれも近くの漁船の乗組員らに救助された。

高松海上保安部によると、現場は瀬戸大橋のすぐ近くで、事故の時、海水温は19度で平年並みだった。波が穏やかで、漁船の素早い救助もあり、惨事を免れたとみられる。
同保安部は今後、船長らから事情を聞き、原因を調べる。
坂出市教育委員会などによると、修学旅行は18日から2日間の日程で、船は午後2時50分頃に高松港を出発して、瀬戸内海クルーズをしており、午後5時に坂出港に到着予定だった。救助された児童らはバスで小学校に戻り、迎えに来た保護者と帰宅したという。
同校は当初、修学旅行で京都や大阪などを訪れる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で県内に変更していた。
励まし合い、泳いで漁船へ
漁船で救助した50歳代男性によると、到着時、船体は沈没寸前で、かろうじて一部が海面から出ている状態。児童らは、その上で助けを待っていた。
男性は漁船で数メートルの距離まで近づき、マイクで呼びかけた。「大丈夫や。絶対に助けるから、順番に泳いでこい」。児童らは海に飛び込み、漁船まで泳いできた。男性は児童らを引き上げた後、海に飛び込んで船に渡り、残った大人の乗客を助け出した。
先に救助された児童らは、泳いで渡ってくる他の児童らに「大丈夫」「頑張れ」と声をかけ続けていたという。男性は「震えている子どももいたが、人を押しのけることもなく、立派だった。全員無事で本当に良かった」と話した。
学校に戻った男児の一人は、「『バコーン』と何かが割れるような大きい音がして、船の中にどんどん水が入ってきた。『船の底が割れている』と言われ、救命胴衣を着けたが、すぐに腰ぐらいまで水につかった。本当に怖かった」と語った。