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ひとり親「今、本当に助けてほしい」…コロナ禍で食費にも苦しむ

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 新型コロナウイルスの流行が長期化する中、ひとり親世帯の経済的な困窮が深刻さを増している。支援団体の調査では4割の世帯で収入が減少し、6割が食費を切り詰めている実態も判明。政府は4日、ひとり親世帯を対象とした臨時特別給付金を再支給する方針を示したが、支給対象の拡大を求める声もあがる。(戸田貴也)

■おにぎり一つ

具の入っていない塩おむすびを手にするひとり親の女性(東京都内で)
具の入っていない塩おむすびを手にするひとり親の女性(東京都内で)

 12月上旬、印刷関連会社社員の40歳代女性は東京都内の職場で、家から持参した手作りのおむすびを一つ手にとった。「今日の昼食はこれだけ。コロナで収入が減ったので」とさみしそうに話した。

 女性は8年前に離婚し、中学1年の長女と2人暮らし。元夫から養育費の支払いはなく、生活保護を受給した時期もあった。3年前から現在の仕事につき、収入が安定しつつあった中でコロナ禍に見舞われた。

 土曜や夜間の残業がなくなり、今年5月以降の手取り月収は12万円余りと昨年の27万円から半減した。このため食費を月2万円に削減。長女からは「大変だけど2人で頑張ろう」と声をかけられた。

 女性は9月、1回目の国の臨時特別給付金で5万円を受け取ったが、月々の赤字の補充ですぐに消えた。追い打ちをかけるように10月、ひとり親世帯を対象とした児童扶養手当(月額約4万円)の不支給が決定した。昨年の年収が所得上限を超えたためだ。「この生活が続くと思うと緊張の糸が切れそう。今、本当に助けてほしい」と女性は声を絞り出す。

■4割が収入減

 厚生労働省などによると、国内のひとり親世帯は2016年時点で約142万世帯に上る。17年の平均年収は、ふたり親(735万円)と比べると父子家庭(624万円)が8割、母子家庭(300万円)は4割にとどまる。

 親を亡くした子供らを支援する「あしなが育英会」(東京)が10~11月に行った緊急調査では、ひとり親世帯を中心とした約2900人の保護者のうち、37%が収入減となり、食費を切り詰めた人は57%に上った。社会情報大学院大の富井久義准教授は「もともと経済的に余裕がなかったひとり親が、コロナでさらに追い込まれている」と指摘する。

■別居は対象外

 国の臨時特別給付金の支給対象が狭いとの指摘もある。

 給付金は、別居中や離婚前の「実質的なひとり親家庭」は対象外だ。しかし、こうした世帯も困窮にあえいでいる。

 NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」などが9月に行ったインターネット調査では、実質的にひとり親状態にある全国の262世帯のうち、6~8月の就労月収が15万円以下だったのは7割に上った。赤石千衣子理事長は「別居状態が長期化する家庭も多く、給付金の支給対象とすべきだ」と訴える。

 ◆ひとり親世帯臨時特別給付金=新型コロナウイルス感染拡大で生活苦にあえぐひとり親世帯を対象とした給付金。児童扶養手当を受け取っている世帯には5万円(第2子以降は3万円を加算)、収入が減った世帯にはさらに5万円を加算する。1回目の今夏は94万世帯以上に支給された。

同じ悩み 助け合い

 支援団体には、コロナ禍でひとり親からの相談が増えている。

 孤立しがちなひとり親を支援するため一般社団法人「ひとり親支援協会」(大阪)が開設した無料通信アプリ「LINE」のグループには現在、約300人が参加する。参加者の一人、東京都内の40歳代女性の悩みは仕事と子育ての両立だ。女性は学校を休みがちになった小学1年の次男の登校に付き添うため半日は有休をとり、半日だけ仕事をする。LINEでは、他の参加者から「育児も仕事も完璧にやろうとしなくていい。一人で抱え込まないで」とアドバイスを受け、胸のつかえがとれたという。同協会の今井智洋代表理事は「同じ悩みを抱える当事者が解決策を探る『共助』の仕組みで、コロナ禍を乗り切りたい」と話す。

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1676916 0 社会 2020/12/05 15:00:00 2020/12/10 22:36:50 2020/12/10 22:36:50 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201205-OYT1I50067-T.jpg?type=thumbnail

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